がんを考える②~追い打ち・自分へのがん宣告

追い打ち~自分へのがん宣告
妻へのがん告知は、突然わが家に訪れた人生最大の危機だと思いましたが、その後の検査で、肺や骨への転移がないことが分かり、少しだけほっとしながら、入院、手術へ向けて準備に取り掛かった頃でした。

妻の場合、健康診断で血尿とたんぱくが多いといわれ、医師の勧めでエコーをかけた結果がんが見つかったのですが、この時点でこの際自分も検査をした方がよいかなと思い始めていました。

5月下旬、高血圧の治療で毎月通っている病院の主治医に事情を話し、自分もエコーをかけてみたいというと、先生は、エコー検査で疑いが出たら再度CT検査ということになるので最初からCTをかけることを勧めるといわれました。その方が早いかと納得しお願いしたところ、さっそくその場で電話してCT検査の予約をとってくれました。

現役の頃は会社から準備された日程に従い毎年半日ドックを受けており、その時に内蔵のエコー検査をかならず受けていました。「肝臓に小さなポリープがあるけれどまず問題はないでしょう」などとよく言われたものです。しかし、退職後は、自治体から案内が来て実施される健康診断のみでしたが、特別な自覚症状もなく極めて健康だと自負していました。

ところが、CT検査の結果、「膀胱に直径4.2㎝の円形の腫瘍が見つかり、がんの疑いが濃厚です。手遅れにならないようにすぐに専門の病院で詳しく検査してください」と言われました。それまで、健康診断で多少の血尿やたんぱくが下りることはあったものの、担当医師からはそれほど逼迫したアドバイスもなかったので、まさか腫瘍があるとは夢にも思いませんでした。しかし、腎臓を調べるつもりで、膀胱に異変が見つかったのは幸運だったのかもしれません。

妻の入院、手術を翌週に控えた頃、今度は自分自身が大きな問題を抱えることになりました。夫婦二人がほぼ同時期にがん宣告を受けることになるかもしれないという事実に少々驚きはしましたが、何故か妻の病名を聞かされた時ほどショックは大きくありませんでした。妻の身体のことは自分ではどうにもしてやれないけれど、自分の身体ことは何とかなると思ったのでしょうか。いや、冷静だったというより、一瞬頭が真っ白になり何だか狐に化かされたような不思議な感覚でした。

今度は、妻から病院に連絡を入れてもらいました。「来週お世話になる……ですが、今度は主人が……」と何とも奇妙なことになってしまったのです。先方は、まさか夫婦同時に?と驚きながらも機転を聞かせて、妻がかかることになっている同じ先生の方がいいでしょうと、早速診察・相談のアポイントをとってくれました。やるべきことはやったのですが、その後、2、3日は、何だかぼーっと過ごしたような気がします。

翌週、CT画像を見ながら説明を受けたところ、大きく見えている4.2センチの腫瘍は多分浸潤はしていないと思われるけれども、他の小さな腫瘍もあるし、今は何とも言えませんとのこと。いずれにしても内視鏡検査でよく調べてみないとわからないとのことでした。これだけ大きいとかなり前からできており、まずがんに間違いないでしょうと、ここではっきりと宣告されました。早めにもう一度精密検査をしましょうということで、MRI検査その他いくつかの検査をしたあと、手術は6月末~7月初旬にすることになりました。

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