がんを考える㉙〜スルフォラファン

最近、我が家の食卓によく上がるようになったもののひとつに、ブロッコリー・スプラウトがある。ブロッコリーの新芽で、見かけは、かいわれ大根をさらに細くした感じの少し辛みある野菜だ。

野菜サラダの一番上に乗っていることが多いが、煮物やパスタなどの麺類に乗っかっていることもある。ちょっとしたアクセントくらいに思っていたが、あに諮らんやこれがとんでもないパワーを持っているらしい。

一年前に夫婦ともに大病をしたこともあり、毎日の食事に一層気を遣うようになった妻が積極的に使いだしたのだ。こんな細くて頼りなさそうに見えるものにどんな力があるのだろうか。少し調べてみた。健康ブーム情報!第一弾は、ブロッコリー・スプラウトとそれに含まれる成分スルフォラファンだ!

米国ジョンズ・ホプキンス大学医学部教授であるポール・タラレー博士は、1990年代にブロッコリーに含まれる「スルフォラファン」に腫瘍の形成を抑制する効果を発見し、高濃度にスルフォラファンを含むブロッコリースプラウトを開発して一大ブームを巻き起こした。

以来、世界の研究機関でスルフォラファンに関する研究が進み、さまざまな疾病予防効果があることが次々に明らかになった。スルフォラファンとは、ファイトケミカル※の一種でブロッコリーに微量に含まれており、ピリッとする辛みのもととなる成分。そのすぐれた解毒作用や抗酸化作用から、様々な疾病予防効果が報告されている。

※ファイトケミカルとは、植物に含まれる天然の化学成分の総称。その健康効果への期待から、炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維につづく第7の栄養素と呼ばれている。

【スルフォラファンの働き】
スルフォラファンの疾病予防効果は、スルフォラファンが持つ「体を守る酵素群(Phase 2 enzyme)の生成促進作用」によるものであると考えられている。スルフォラファンが体内に取り込まれると、各細胞において体を防御する酵素の生成が促される。それら酵素には、体内の活性酸素を除去したり、有害物質を無毒化し、体外に排出するなど様々な働きがあることが知られている。

【スルフォラファンの効能】
①解毒(体内の解毒酵素の働きを助ける)
大気中や飲料水、食品などに含まれるある種の化学物質は、体内で発がん物質に変わり、それらが細胞内のDNAを傷つけると、発がんリスクが高まる。一方で私たちの体にはもともとそれらを無毒化する解毒酵素も備わっている。スルフォラファンはその「解毒酵素」の働きを飛躍的に高る。
②抗酸化(体内の抗酸化酵素の働きを高める)
体内の細胞を酸化(サビる)させ、「老化の原因」と言われるのが「活性酸素」。活性酸素は、紫外線や大気汚染、喫煙やストレスなどさまざまな原因で体内に発生し、シミ、そばかすを増やしたり、肝機能を低下させたり、細胞を傷つけてがんの芽を作ったりする要注意物質。スルフォラファンは体内にもともと備わっている抗酸化酵素の働きを高めて、活性酸素を除去する。
③ピロリ菌除菌(体内のピロリ菌を除菌)
スルフォラファンには、ピロリ菌を殺す作用がある。ピロリ菌は、胃炎や胃がんを引き起こす危険因子で、日本人の2人に1人が保菌していると言われている。スルフォラファンを高濃度に含む発芽3日目のブロッコリースプラウトを1日70g、8週間摂食した結果、ピロリ菌が8分の1に減少という研究発表もある。
④花粉症抑制(スギ花粉によるアレルギー症状の緩和が期待できる)
ブロッコリースプラウトのエキスにスギ花粉による花粉症を抑制する効果があることが、動物を用いた試験で確認された。ブロッコリースプラウトエキスの摂取は、炎症を引き起こす細胞や抗体の過剰生産を抑制し、アレルギー反応を抑える。
⑤メタボ予防(内臓脂肪の蓄積を抑制する)
ブロッコリー スーパースプラウトを摂取することで、高脂肪食摂取時の内臓脂肪蓄積が抑制されることが動物実験で明らかになった。内臓脂肪が蓄積されると動脈硬化疾患のリスクが高くなる。高脂肪食を摂りながら内臓脂肪の増加を抑制できる可能性を示した研究成果が出たことで、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)予防に期待が高まっている。
⑥悪酔い軽減(悪酔いの軽減が期待できる)
スルフォラファンが、アルコールの代謝物で悪酔いの原因物質でもあるアセトアルデヒドの代謝を促進することが動物実験で明らかになっている。
【おすすめの食べ方】
①生食がお勧め。
スルフォラファンは、噛み砕かれ、ブロッコリースプラウトに含まれる酵素、ミロシナーゼという酵素と反応することで生成される。スルフォラファンは熱に強いが、ミロシナーゼは熱に弱く、加熱によって壊れてしまうことから、生で食べることがおすすめ。また、スルフォラファンによる解毒酵素の働きは3日間持続するので、食べるのは3日に1度が効率的です。。加熱した場合、小腸に存在する腸内細菌が持つ酵素によって前駆体がスルフォラファンに変わることが確認されている。加熱調理しても有効性がゼロになるわけではないので、生食が苦手な方や調理のバリエーションが欲しい方には有効。健康増進を目的に摂るには、1日30mgが目安。
②よく噛むこと。
よく噛んで「細胞を壊す」ことで、スルフォラファンの吸収率は高まる。ジュースやスムージーにするのもおすすめです。 ピロリ菌対策を目的とする場合は、特に生でよく噛むことがおすすめ。

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