2021-05-27 / 最終更新日時 : 2021-05-18 Tony 荻悦子 荻悦子詩集「樫の火」より~「往還」 往還 気づかないふりをするのに 疲れた いや 飽きてしまった 不意打ちに会い (そうだったのか) 隠されていたことを (とうに気づいてはいたが) いまはっきりと受け止める アスファルトの広い道 交差点の中央が急に盛り上が […]
2021-05-25 / 最終更新日時 : 2021-05-18 Tony 荻悦子 荻悦子詩集「樫の火」より~「影絵」 影絵 暮れかかるころ 真新しい教会の前を通った 教会の破風にはダビデの星が光っていたが 私はその先に用があるのだった 前方を男が歩いていた 男の右足の先に何か影があった 夕闇と見分けがつきにく […]
2021-05-24 / 最終更新日時 : 2023-08-11 Tony 荻悦子 荻悦子詩集「樫の火」より~「水位」 ようやく秋本番といった季節になりましたが、みなさま如何お過ごしでしょうか。秋と言えば読書の秋。新宮市熊野川町出身の詩人・荻悦子さんの詩の世界に浸ってみませんか? 昨年、出版されたばかりの詩集「「樫の火」(思潮社)の中の一 […]
2021-05-21 / 最終更新日時 : 2023-08-01 Tony 荻悦子 荻悦子詩集[「樫の火」より~「祝福の木」 祝福の木 男に抱かれた黒い犬の目が私を射る 目が妙に光り 金色の環が生まれる 雑誌に載っている写真の中の 動かないはずの犬の目が光を放つ 犬は男の腕をす り抜ける ベランダの木の階段を降りてくる 顔を 上げ 光の矢を放ち […]
2021-05-21 / 最終更新日時 : 2021-05-18 Tony 荻悦子 荻悦子詩集[「樫の火」より~「振り子」 振り子 ステンレスの格子戸が降りてきて、ベルが鳴り終わ った 居合わせた人たちは動きようがない 廊下の片側に扉が並んでいる 扉はみな閉ざされて いる フロアから内階段を降りた 踊り場をひとつ 経ると またフロアがあった […]
2021-05-20 / 最終更新日時 : 2023-08-01 Tony 荻悦子 荻悦子詩集「樫の火」より~「スープ」 スープ 娘がスープを作ります それは丁寧に本格的に作る のです レンガの壁を背にして おごそかな口調で 翠さんが言った 大きな鍋には既に何かがたぎって いる 翠さんの娘はその中に刻んだベーコンを入れ た 厚みのあるベーコ […]
2021-05-19 / 最終更新日時 : 2023-08-01 Tony 荻悦子 荻悦子詩集「樫の火」より~「低く飛ぶ蝶」 低く飛ぶ蝶 狭い側溝の中で 薫色がちらちらした 小さな蝶 小刻みに飛行をくり返し 翅を閉じると 斑点のある灰褐色 側溝の上の生垣に白いアベリアが咲き 明日も低く飛ぶだろう しじみ蝶 黄昏の目で辺りを見ていま […]
2021-05-18 / 最終更新日時 : 2021-05-18 Tony 荻悦子 荻悦子詩集「樫の火」より~「家」 家 両親はドーナツ型の家に住んでいる 数日経ってよ うやく気づいた 向い合わせに窓があり あまりに も明るい室内 両方の窓際にベンチが作り付けられ ている 私は何気なくテニスボールをベンチに置い た ボールは転がって 両 […]
2021-05-17 / 最終更新日時 : 2023-08-01 Tony 荻悦子 荻悦子詩集「樫の火」~「春の来方」 春の来方 何人目かの来訪者がくれたのはくすんだピンク色の 缶だった ピンクの缶には絵や文字がなくて 中に カードが入っていた カードには花を咲かせた木が 描かれていた 枝ごとに花の形が異なり 何の花と もつかない花が鈴な […]
2021-05-15 / 最終更新日時 : 2022-11-19 Nishi プロカメラマンの秘密 プロカメラマンの秘密を探る⑮~予測された必然 今までにも雷の写真は何度か見たことはあったし、自然現象のほんの一瞬を捉えた写真としてそれなりに凄さを感じてもいた。しかし、これまで写真についての解説を聞いたことは一度もなかった。そして、野村さんから雷についての解説を初め […]
2021-05-14 / 最終更新日時 : 2022-08-30 Nishi プロカメラマンの秘密 プロカメラマンの秘密を探る⑭~トリミング 講演会で野村さんから、この写真の説明を聞いたとき、二つの意味で驚いた。まずひとつは、このスカイツリーの写真はハイムの自分の部屋から撮ったという事実。二つ目は、元の写真のかなりの部分をトリミングしたということだ。 考えてみ […]
2021-05-13 / 最終更新日時 : 2022-08-30 Nishi プロカメラマンの秘密 プロカメラマンの秘密を探る⑬~鳥を撮るⅢ 年の瀬も迫るある日、上河原堰の調布側で空が朝焼けで赤く染まっている。今朝は、雲には特別な特徴はないがその中を遠くで何羽か鳥が飛んでいるのが見える。いつものカワウだろう。さて今日は何が撮れるかわからないが、とりあえず空にレ […]
2021-05-13 / 最終更新日時 : 2021-04-22 Nishi プロカメラマンの秘密 プロカメラマンの秘密を探る⑫~鳥を撮るⅡ ある冬の朝7時過ぎ、いつものように多摩川の川べりにいる。寒いので少し厚着をして出かけたが天気は素晴らしく晴れ渡り、空の色が青く冴えわたっている。この空のブルーはこのまま捨ててしまうのは勿体ないと思う。雲ひとつないこんな青 […]
2021-05-12 / 最終更新日時 : 2022-11-19 Nishi プロカメラマンの秘密 プロカメラマンの秘密を探る⑩~脇役の妙 太陽は我々人間の命の根源であることから、古代より信仰の対象であった。時には、炎天に燃え盛る炎の激しさであったり、時には、暮れなずむ夕日の侘しさであったりと実に様々な表情を見せてくれる。そしてその荘厳な姿を何とか残したいと […]
2021-05-12 / 最終更新日時 : 2021-04-22 Nishi プロカメラマンの秘密 プロカメラマンの秘密を探る⑪~鳥を撮る 多摩川、空、雲、富士山、そしてサギやカワウ、毎日見る景色はそれほど変わり映えしない。鳥に特別なこだわりがあるわけではないが、自然と毎日鳥を見ることになる。しかし、鳥は気まぐれ、群なす数も違えば場所も定まらない、なかなかこ […]
2021-05-11 / 最終更新日時 : 2022-08-04 Nishi プロカメラマンの秘密 プロカメラマンの秘密を探る⑨~次の一枚! 一目見てそれと分かる写真もあれば、説明を聞いて初めてその写真の意味が分かるというものもある。この写真は、かつて多摩川に渡されていた送電線にカワウが止まっている写真である。送電線は既に撤去済みで今はもうない。この「プロカメ […]
2021-05-10 / 最終更新日時 : 2021-04-22 Nishi プロカメラマンの秘密 プロカメラマンの秘密を探る⑧~ドラマ性 風景だけの写真だとドラマ性は感じにくいが、そこに人が加わるといきなりドラマ性が大きく出てくるものだ。その人がその場所に居るのは何故なんだろう。そこに着いたばかりなんだろうか、或いはそこから帰ろうととしているのだろうかとい […]