フランスあれこれ19~消費税で思う事(フランスTVAとの比較)

来年10月の消費税の2%アップで昨今色々と議論が持ち上がっています。心なしかご近所での住宅建設も今のうちにと言う風情で建設が進んでいるようにも思います。税率アップ後の消費の落ち込みを懸念して、政府もしばらくの間消費税の還元を考えているようです。

1968年(丁度50年前になります)フランスが世界に先駆けて消費税の導入に踏み切りました。ドゴール大統領の時代です。私の知識で何がどう変わろうとしているのか十分理解できない状態でしたが巷は喧々諤々議論が持ち上がっていたことを記憶しています。新聞ではガソリンの値上がり対策として買いだめをして風呂桶に蓄え、警察沙汰や消防が出動と言う事件が報じられたりもしました。

この時の消費税率は一気に20%と設定されたのです。逆に直接税はほぼ半減させるというのが大統領の説明だったかと思います。誤解のないように申し上げると古くからフランスでは消費税的な考えがあったようで、一気にゼロから20%になったともいえない事情もあったかと思います。

ドゴール大統領の説明では、新しい税制の導入は当時の人口減少、産業の低迷、これに伴う投資の減少、ひいては企業の国外逃避、産業の海外流出が背景にあり、何としてもこの流れを逆行させねば明日のフランスはないというものでした。消費税は国民の大きな負担だが企業収入にかかる税金は無論一般労働者の収入に掛かる税金(所得税)など所謂直接税を大幅に引き下げるという事でした。(付随して申し上げるとこの時期フランスとして必要な多くの企業が吸収・合併されたりして国営化しています)

ここで簡単に日仏税制の違いを比較してみたいと思います。と申しましても日本の税制にも疎い私です。正確な勉強は皆さんにお任せするとしてイメージとして違いを認識して頂ければと思います。

(1)税収に占める間接税   日本35%位  フランス60%位
内 消費税            18%位          48%位

間接税に占める消費税以外の項目で特記すべきは日本では車の重量税やガソリン税が極めて高い。フランスでもガソリンやたばこが高い。(両国の比較の話)

フランスの消費税は標準が20%ですが軽減税率として
(a)食品・本 5%
(b) 食品以外の農産物 10%
(c) 医薬品 2.1%

(2)フランスでの所得税の概算(あくまでも概算です)

(a)年収120万円(月収10万円)までは無税
(b)年収350万円までの人は120万円を超える部分に対し14%
(c)年収950万円までの人は350万円を超える部分に対し30%+(b)
(d)年収2000万円までの人は950万円を超える部分に対し41%+(b)+(c)
(e)年収2000万円以上は2000万円を超える部分に対し45%+(b)+(c)+(d)

(3)税額の表示は日仏全くの真逆。フランスは税込み表示で括弧で内税を記載していま す。例えば商品価格120円(内税20円)と言うものですが、日本の場合商品価格 100円(税込み120円)と表示されています。日本では往々にして表示価格ではす ぐに支払いの代金が判らないこともあります。

ここからは私の独り言です。昨今の日本も少子化で人口減少が着実に進行しています。国会でも海外からの労働者導入が緊急の議題となっています。何となく50年前のドゴール時代のフランスを思い出す次第です。だが消費税率の引き上げがわずか2%、それでも引き上げ後の景気後退を懸念して消費税の還元、しかも5%を9か月間などと言っています。

我が国はバブル崩壊以来借金経営の政府となっていて国と地方の借金の合計が1100兆円、今や国民一人当たり1000万近くになる。この上人口減で老齢化すると福祉・厚生予算の膨張で益々借金は膨らむばかり。それでも政府の内外に少子化が進めば遺産相続人が減って逆に相続税収入が増えるなどと逃げ口上の発言もあるとかないとか?本気で日本の将来を考える人はいないのか!やはり最後は超インフレで借金帳消しにするしか方法はないのだろうか?

東 孝昭

フランスあれこれ19~消費税で思う事(フランスTVAとの比較)” に対して1件のコメントがあります。

  1. 宮川直遠 より:

    文芸館らしからぬコメントをさせて頂きますこと、まずもってお許しください。

    よく、「国と地方の借金」が膨らんで1,100兆円、国民一人当たりにすると1,000万円とよく言いますが、まず「国」といういい方に、大きな誤りがあります。借金しているのは、正しくは「日本政府や地方自治体」であります。その債権者は誰かと冷静に考えれば、それは大半が日本国の企業か国民なのです。
    どこか海外の経済破綻した国のように外国から借金しているわけではありません。外国に借金をしていれば、それは当然のこと、突き詰めればその国の国民が債務を負わされることになりますが、日本の場合はそうではありません。
    政府の借金(債務)+国民の債権=ほとんどゼロ、という構図です。
    また、国には、借金(債務)とはべつに、それに見合う、あるいはそれ以上の膨大な国有財産をもっていますが、これは借金の話をする時、引き合いにさえ出されていません。借金ばかりが強調されて、それを国民の借金だといういい方にすり替え、だから、増税が必要だと・・・。これは全くおかしなロジックです。
    つまり、日本国民全体が、日本政府・地方自治体に対しての「債権者」なのです。
    したがって、超インフレなどがおこると、喜ぶのは日本政府や地方自治体であって、国民は自分の債権が目減りしてしまい、かえって大損を強いられるということではないでしょうか?

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