フランスあれこれ(18)ボジョレーワインの話

これからお話するボジョレーワインの話ですが、どこまで本当か、ひょっとしたら全て作り話かも知れません。
実はフランスの酒飲み、しかも酔っ払い状態の人から聞いた話です。それにしては滔々と流れるような演説を聞いた印象でした。まずはその話をお聞きください。

『ボジョレ―なんて最近のワインだ、歴史なんてないさ。フルーティーなんて言うけれど熟成しても旨くならない酒だ。売れずに困っていた時、だれか機転の利く商社マンがアメリカに紹介したのだ。
偶々安いレストラン、想像してみろ、大きな草履のようなステーキのレストランを!腹の減った労働者の昼飯だよ。ワインを樽からグラスに注ぐと言えば格好がいいけれどフランスでは一般庶民のやることさ。
これが偶々当たったのだよ、恐ろしいことだ。赤い血の滴るようなステーキにぴったりのワインだと。マスコミでも取り上げられ一気に需要が拡大したのさ。
小さなボジョレ―村のワインでは間に合わない。それ!とばかり、アルジェリアやエジプトからワインを仕入れ、港でブレンドして輸出したのさ。政府がびっくりして樽での輸出を禁止した。
この商社マン頭がいいね。それならばとご近所の村にも声をかけてボジョレ―ブランドを拡大したのさ。ご本家がそれでは困るという事で名前に少しだけ格好をつけて「ボジョレー・ヴィラージュ」(ボジョレ―村)。同時に値段も上がったが熟成すると味が落ちる。
それじゃあ、ということで一気に売り切ることにして「解禁日」を設けたのさ。本当に商売上手だよな。わしに言わせれば、この段階で日本人が悪乗りしたのだよ。これも商社マンの腕の・・・、いやいや君たち日本の商社マンの話ではないよ。』

この話を聞いたのはバブル崩壊の前後、11月15日(現在は11月第3木曜日)解禁とともに日本にも大量空輸されていた時の事です。パリの酒場(カフェ)でも「ボジョレ―入荷」と言ったポスターが小さく張り出されていました。時には季節だからと一杯注文する人もいたかと思いますが、私が見る限りフランス人は見向きもしなかったと思います。
私の心証は自分の思いと違うワインが海外の金持ちにもてているというフランス人のひがみ根性から出た発言?これが誤解であってほしいとも思うし、それとも本音の話だった方がよかったのか、いずれにしても私には困った話でした。

(東 孝昭)

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