ヤタガラスの「教えてワイン!」33 ワインとキリスト教

ワインが現在、ほぼ全世界で飲まれるようになったのは、キリスト教と結びついたことが大きな理由だ。イエス・キリストが最後の晩餐で、ワインを私の血と指し、それ以来、多くの儀式で使われるようになった。礼拝においては、パンをキリストの肉体、ぶどう酒(ワイン)をキリストの血としている。

8世紀末に西ローマ皇帝となったカール大帝が、キリスト教とワイン造りを奨励したことも契機となり、ヨーロッパ各地の修道院はワイン造りに力を入れることになる。高品質なワインの原料となるぶどう畑を所有することが権力の象徴となっていたのもこの頃だ。

15世紀に始まった大航海時代に、南米、北米、南アフリカ、オーストラリアなどにヨーロッパから多くの人々が移住した。そこでもキリスト教の儀式は開かれ、それに欠かせないワインを造り始めた。こうして、ほぼ世界中で、ワインは造られるようになった。ワインの名産地として名高い、カリフォルニア、オーストラリア、チリ、アルゼンチンなどはこの頃からワイン造りが始められたのだ。

ワインがここまで発展したのは、ぶどうという植物の特性も大きく関与している。ぶどうは蔓性の低木なので大木にからまって成長して行く。自分が絡まった木が枯れないよう、少ない水分、栄養でも実をつけることができる。つまり痩せた土地でも育つという優れた性質を持っているのだ。

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