がんを考える㊲~乳がん 8(治療 – 手術)

乳がんの治療は、手術(外科治療)、放射線治療、薬物療法(内分泌[ホルモン]療法、化学療法、分子標的治療など)がある。それぞれの治療を単独で行う場合と複数の治療を組み合わせる場合がある。がんの性質や病期、全身の状態、年齢、合併する他の病気の有無などに加え、患者の希望を考慮しながら治療法が決められる。

1.手術(外科治療)
乳がんの治療では、手術によってがんを取りきることが基本となる。手術は大きく分けて「乳房部分切除術」と「乳房切除術」とがある。

手術直後には、創から体液を排出するドレーンという管が数日間入れられていることがある。拝液量が減ってきたら管を抜く。抜糸(最近では抜糸を必要としない縫い方や抜糸が不要のテープ、医療用接着剤を使用する病院も多い)のころには、創そのものからの痛みはかなり治まっている。

①乳房部分切除術
腫瘍の端から1~2㎝離れたところで乳房を部分的に切除する。乳房部分切除術は病巣を確実に切除し、患者が美容的に満足できる乳房を残すことを目的に行うもの。乳房部分切除術を受けられる条件については明確なものはなく、がんの大きさや位置、乳房の大きさ、本人の希望などにもよるので、担当医とよく相談することが重要である。

しこりが大きい場合には、術前薬物療法によって腫瘍を縮小させてから手術を行う。

手術中には、切除した組織の断端(切り口)のがん細胞の有無を顕微鏡で調べて、確実にがんが切除できていることを確認する必要がある(術中迅速病理診断)。がんが手術前の予想よりもはるかに広がっている場合は、乳房切除術に変更するか、もしくは追加切除術を行うこともある。

通常、手術後に放射線照射を行い、切除後の乳房内再発を防ぐ。

②乳房切除術
乳がんが広範囲に広がっている場合や複数のしこりが離れた場所に存在する多発性の場合は、最初から乳房を全部切除する乳房切除術を行う。

~つづく~

 

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