がんを考える㊴~乳がん 10(治療 – センチネルリンパ節)

センチネルリンパ節生検
がん細胞が最初に転移するリンパ節をセンチネル(見張り)リンパ節という。このリンパ節を摘出し顕微鏡で検査を行い、転移がみられなければこれ以外のリンパ節郭清を省略しても再発率に影響がないことがわかっている。

センチネルリンパ節転移が1個でも陽性の場合には、腋窩リンパ節郭清を行っているのが現時点での標準治療である。しかし近年、術前検査で腋窩リンパ節転移が陰性とされていた場合では、術後の薬部療法や放射線治療をしっかり行うことで、腋窩リンパ節郭清を省略できる可能性が報告されている。

これを受け、リンパ節への転移病巣の大きさにより、その後の治療方針を決める病院もある。長期的成績が出ていないため、いまだに慎重な判断が必要な状況だ。

転移がある場合にリンパ節郭清をするかどうかは、手術後の治療方針との兼ね合いで決められる場合もあるので、詳しくは担当に尋ねるほかはない。

 手術に伴う主な合併症について
治療した側の腕が上がらない、腕を回せない、腕がだるい、傷む、痺れる、わきの皮膚が突っ張るといった症状がみられることがある。胸の筋肉を切除した場合にはしばらく安静が必要だが、動かさないでいると肩や腕の関節が筋肉がこわばって動かしにくくなることがある。担当医に相談の上、段階的に運動を取りいれていくのがよい。
リンパ浮腫
手術でリンパ節を切除したり、放射線治療を行ったりしたあとに、腕のリンパ液の流れが悪くなり腕がむくむことある。これをリンパ浮腫という。そのようなときには、横になるときなどに腕や肩の位置が高くなるようにすると、むくみが軽くなることがある。

リンパ浮腫を発症後の治療としては、きつめのサポーターのような弾性スリーブやバンデージ(弾性包帯)などの弾性着衣を着用したり、リンパの流れを改善するマッサージを行ったりする。日常生活の注意点や工夫、日常的に行えるリンパ浮腫対策を退院前に担当医や看護師に相談しておくのがよい。

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