フランスあれこれ21~パリの地下道探訪(ドイツの友人との出会い)
半世紀を超す昔の思い出です。パリの事務所に突然現れたドイツ人、有名なドイツの機械メーカーのパリ事務所の青年です。私達のパリ事務所には機械部門がなかったのでたまたま私が応対した次第です。丁度同じくらいの年齢、駐在と言っても新米で共に右も左も良く分からない状態だったかと思います。何となく仲良くなった次第。彼の事務所はパリの郊外でパリに来た時を見計らって時々顔を見せるようになりました。ある日一度週末に一緒にパリの勉強をしようという事になり、事務所に近いマドレーヌ寺院で待ち合わせた。序だからと言って寺院のドアを開けて中に入ってビックリ、週末のミサの最中でほぼ満席の状態。荘厳なミサの最後に司教さんが薄い煎餅を一枚ずつ配っていたかと思います。
軽い食事のあと彼の提案でまず向ったのはオペラ座。裏口から知った道という風情で進む彼について入った。あとはしっかりと覚えている訳ではないが階段を下りて薄暗い廊下を進んでまた階段を下りるといった具合。薄暗い洞窟の中に舞台装置の古いものがほこりまみれで放置されていたように思う。
オペラ座の次に近くの商店街でアーケードになっているところに行ったと思う。ここでも勝手知った様子ですいすいと進む。とある街角から裏にそれて階段を降りる。地下一階にも何軒かの商店が並ぶが一般客相手ではなかった様子。その道を更に進むと商店もなく、昨今のシャッター街の雰囲気になった。ところどころに明かりがついているので覗くとケーキを作る厨房であったり、商品の倉庫だったり。
次に向かったのがコンコルド広場、大きなロータリーになっているがその昔は一面に路上の駐車場になっていた。このロータリーの片隅の小さな建物(写真)のドアを開けて階段を降りる。どういう構造になっていたか定かでないがパリの立派な下水道に出た。結構きれいな水がさらさらと流れていたように思う。直線の水路をしばらく歩くと突き当りに格子戸のある外界につながっている。明るい光が入っていて、多分セーヌ川に流れていたのではないかと思う。
それから数年、或いは十数年後にカルチャーショックに襲われました。それは映画「オペラ座の怪人」、同じく映画「第三の男」を見た時の事。特別の興味も持たず、ただのんびりと眺めた景色が現実のものとなったのです。映画の現場はいずれも私自身が足を運んだところだ?この場所で映画の撮影が行われたのだ?という錯覚です。この印象は未だにはっきりせず、夢なのか現実なのかさまよっている次第です。
本稿を書く前にもう一度両方の映画をDVDで見ました。いずれもテレビの録画を保存していましたが、それも何かの因縁でしょうか。右は映画「オペラ座の怪人」及び「第三の男」の一シーンです。
パリの地下について先に「パリのカタコンブ」を寄稿しました。パリにはほかにも広大な地下空間が多数存在します。古くはローマ時代の遺跡に始まり、町の発展とともに石材の発掘場として広がりました。私がパリで勤務した事務所に近いところにヴァンドーム広場があります。一流のショップの並ぶ高級商店街の一角ですがこの広場の地下が広大な地下駐車場です。改めて機会があればご案内させて頂きます。