西村伊作の残したもの
西村伊作の設計した建造物は全国各地に残っていますが、新宮周辺に残されている建造物を廻ってみました。
新宮市伊佐田には、大正期に建てられた西村記念館(大正3年築、国指定重要文化財)や、チャップマン邸(大正15年築、西村伊作設計)があり、この一帯は大正昭和戦前のモダンな新宮文化を物語る場所となっています。
西村伊作は、大正期に日本人の住まいや教育の改革の旗手として注目を集め、大きな業績を残しましたが、この記念館は西村のこれらの活動の原点というべきものです。
一方チャップマン邸は、米国人宣教師として大正から昭和戦前にかけて紀南地方で伝道すると共に日米の懸け橋となった人物であり、この洋館も西村の設計です。
それと、旧丹鶴小学校の校門や那智勝浦町の下里教会も西村伊作の残した建物です。どれを見ても、懐かしく温かみのある雰囲気が特徴です。
伊作の設計した建造物をめぐるなかで、下里教会に昨年赴任した佐伯恒道牧師に話を伺う機会があり、そのお話しの中で二つ驚くことがありましたので紹介します。
一つは建物自体の事で、上空から教会を見ると屋根が十字になっている事、音響がとても良いこと、これまで地震や災害にびくともしなかったこと。
二つ目は、佐伯牧師の奥さんが、なんと岐阜でチャップマン氏より洗礼を受けていたこと、です。素敵なご夫妻でした。
もう一つお知らせです。佐藤春夫の実家「懸泉堂」のすぐ近くに下里教会は建っていました。
西村記念館と旧チャップマン邸の改修予定
※西村記念館 28年度から解体修理に入り、期間は3か年を予定している。これからは庭園への入場も不可となる。
※旧チャップマン邸 28年度に利活用計画をまとめ、設計に入る予定。保存改修工事は29年度実施予定。
Gallery~西村伊作の残したもの
(こぶしん)
こぶしんさん、佐藤記念館でのお話、びっくりしました。館長さんと面識ありとは、つゆ思いませんでした。ちょっと恥ずかしいですが、ありがたく、うれしく、天と新宮に感謝しました。めったにない幸せな気分です。
下里教会のことを全く知りませんでした。続いているのがすごいですね。