国立台湾文学館で佐藤春夫がテーマに

6月4日~5日、国立台湾文学館に於いて、台日「文学興歌謡」国際学術研討会(文学と歌謡国際シンポジュウム)が開催され、その国際シンポジュウムに佐藤春夫記念会が共催に名を連ねることになりました。

今、台湾では佐藤春夫の作品への関心が高く、今回のシンポでは佐藤文学が大きなテーマとなっています。期間中、3本の公演が予定されていますが、最終日の5日に佐藤春夫記念館長・辻本雄一氏が、『熊野・新宮の「大逆事件」が問いかけるものー佐藤春夫から中上健次へ』をテーマに講演することになっています。

会期中は、佐藤文学がテーマの分科会も多く予定されています。また、評論人として台湾文学研究者で今回のシンポジュウム開催に大きな役割を果たした、新宮高校20回卒業、天理大学教授・下村作次郎氏を交えた討論会も予定されています。国立台湾文学館の公式Webサイトでは、シンポジュウムのプラグラムも公開されました。

佐藤春夫は1920年夏、当時日本領だった台湾で歯科医をしていた新宮出身の友人に誘われて台湾を訪れ、現地社会の実情や植民地同化政策の矛盾などに関心を持ち、原住民の抗日事件を題材にした「霧社」や、先住民への理解、植民地支配に感じた矛盾等、台湾の印象を率直に記した「植民地の旅」等を書いています。

春夫と台湾をめぐっては、春夫の没後50年を記念して昨年1月に新宮市で国際シンポジュウム「『佐藤春夫と憧憬の地 中国・台湾』展に寄せて」が開催されたほか、今回、会場となる国立台湾文学館では春夫のコーナーが設けられ
るなど、両国で春夫の再評価が進んでいます。

春夫の台湾物に興味のある方には、「女誡扇綺譚」など推薦します。他にも「魔鳥」などを書いています。

小渕伸二

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