「春夫詩句を拾う!!」(2)
どうぞお楽しみください。
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| 流れよる千種百種(ちぐさももくさ) 貝がらの数を集めて歌にそへ 贈(おく)らばや都の子等(こら)に (一九三一年六月「望郷五月歌」(ぼうきょうがつか)『閑談半日(かんだんはんにち)』所収) |
長編五〇行の締めくくりが掲出の句。ふる里の海山の美を、ふる里に身を置くと仮定して、古歌に託して叙(の)べてゆく後半部。椿の葉で煙草を巻いて吸う熊野の習俗にも言い及ぶ。「シバ煙草」とも言われ、椿の若い葉の葉柄を軸にして刻み煙草を巻き込んだもの。燃えにくい椿の葉に包むことで、山火事防止の知恵とも言われた。
貝殻(かいがら)を集めて都会の子等に送るのは、あくまでも歌に添えてであって、歌に込める心情こそが大切なのであろう。熊野の漁者(ぎょしゃ)樵者(しょうしゃ)、つまり海と山の生活者の姿は、一九三六年の『熊野路(くまのじ)』という作品で、さらに厚く肉付けされて詳しく読み解かれることになる。



