我がらの新宮弁講座⑱~「世界方言宣言」

これまで、数々の新宮弁をみてきましたが「開かれた熊野」としては、世界に目を向けねばなりません。日本各地の方言や世界の言語に思いを馳せましょう。

それでは、いってみよう! かず坊の「世界方言宣言」。

【世界方言宣言・標準語版】
方言は日本の各地で永い時間をかけて育まれてきた、いわば地元の文化遺産である。その言葉でないと、うまく表現できない微妙なニュアンスや、味わいといったものがあり、これを大切にしなければならない。

方言はそれぞれが個性を持っている。これを、東京弁や大阪弁などの限られた言葉のみにしてしまうのは大きな文化的損失であり、賢明なこととは言えない。

世界の言語もまた同じく貴重な遺産である。英語などの特定の言語に偏ってしまうことは愚かなことと言わざるをえない。数多の生命があるように、数多の言語を大切にしなければならない。

ここに、日本の方言および世界の言語の保存を宣言する。

【熊野版】
方言はヨ、あちこちで永ーい時間かけて育てられてきた、ま、言うたら文化遺産みたいなもんヤダ。その言葉やなかったらうまいこと言えん微妙なニュアンスいうか、テイストいうもんがあるワダの。

それ、大切にせなアカンわ!。東京弁と大阪弁だけにしてしまうらいうのはあかん、あかん!。そんなことしたらアカンわ!。

日本の方言だけやないデ。世界の言葉もヨー。アジア、アフリカ、ヨーロッパに南北アメリカ。もういっぱいやゲー!。どんだけあるんやろ思て考えたらアタマ痛なってくるけど、これ大切にせなの。

ほいだら、そういうことでいこら!。(byかず坊)

【鹿児島版】
方言はね、わっじぇい(凄い)永い時間をかけて育てられてきた、言うとすれば、おいの村の文化遺産じゃっど。そん言葉じゃなかと、よか風に表現できん微妙な違いがあっとよ。ニュアンスというか、細かかもんを大切にせんとダメやっど。

東京もんや大阪もんの言葉だけにするのは、わっじぇい(この場合は大きな)損失で、バカたれがやることじゃっど。

よそん国の言葉もやっぱい(やはり)同じように貴重な遺産で、英語などの言葉だけに偏れば、そいもバカたれと言うしかなかど。じゅっぱい(いっぱい)命があるから、じゅっぱい言葉を大切にせんといけんぞ。

そしたら、そげんな風にいこかい!。(by馬場武治講師)

【岩手・岩泉版】
方言はなんす、日本中のそつこつの場所で、大した永げー時(とぎ)を経て(へで)育でられで来だ、まぁ、しゃべってみれば、なりなりの地域の文化遺産ども言えるもんでやんすなぁ。

そのしゃべり方(かだ)でねーずーど、なども上手ぐしゃべれーねー、わーっかなあんべえの差(わずかな微妙な差)があっぺーすか。そのニュアンスだり、あんべえどもらをでーず(大事)にすねー(すにゃあ)ばなんねえのす!。

方言ずうのは、なりなりの個性を持ってっぺーすし、、このしゃべり方(かだ)を東京弁だり、大阪弁どもらだげにしてしまうずうのは、てーしたバヅあだり(バチあたり)な事(こど)のような気がして、さがすぐねー!(賢くない!)。

世界中のそつこつのしゃべり方(かだ)も、同(おんな)ずように祖先からおせーられだ(教えられた)、でーず(大事)な遺産なのす。英語だり、限られた言葉だり、しゃべり方(かだ)だげさ偏ってべーりいでゃー

(ばかりいては)、決してさがすう(賢い)事でゃーねーのす。

大したいっぺーの(多くの)生命があんのど同(おんな)ずように、世界各国いっぺーのしゃべり方(かだ)もまだ、でーずにすねーばなんねえのす。

ここさ、日本中の方言だげでなぐ、世界中の言葉(こどば)を、でーず(大事)にする気持(きもず)を声高に表明しやんす。(by佐々木良和講師&日野水無子助手)

【岡山版】
方言いうもなぁ、ぼっけえなげえ時間かけて育まれてきた、ゆうてみりゃ地の文化遺産じゃろう。岡山弁でなけりゃあ、ええように表現できん微妙な違いがあるけえ、ニュアンスゆうんかの? あじうぇ(味わい)みてーなものをでーじ(大事)にせにゃあおえん。

こりゃ、その土地その土地の個性じゃけえ、東京弁や大阪弁みてーな限られた言葉ばーにしてしもうたら、そりゃおおけえ文化的な損で! 賢明たぁ言えんわな。

方言だけでなしに、世界のいろんな言葉でも一緒じゃって。それぞれが貴重な遺産なんじゃ。それを英語どこもかしこも英語ばーしゃべりょったら、おえりゃーせん。そりゃあ愚かなことじゃろーが。言葉でも命でも一緒。大事にせにゃあ、おえんいうこと。

わしゃ、声をおおきうしてゆーとくで!。方言や世界中の言葉がのうならんように宣言する。(by塩見 智講師)

【講評】
いやー、「ザ・方言」といわれる東北弁と鹿児島弁は、さすがにでーらい(どえらい)迫力がありますなあ。それに岡山弁も、なんど星野元監督に怒られとるようでこれまた、おえりゃあせん迫力!。

「方言甲子園大会」というのがあるとすると、こりゃ、和歌山は分が悪いですネ。まいった、マイッタ!(敗北感が漂っておりマス・・)。

ピアノもバイオリンも、何事も子どもの頃から始めなければ「一流」にはなれないそうな。方言だってそうです。幼い時から使ってなければ「一流」にはなれません。

地元の人は「訛り」や「アクセント」、「イントネーション」を聞き分ける音感を持っています。言葉になってないような音声にも言霊(ことだま)の囁きや呟きを感じ取っています。NHK・朝ドラで話される方言は、「よそ者」はだませても地元の人をごまかすことはできません。むしろ耳障りです。(改善を期待したい)

ここに出ていただいた方は一流の方言師です。地元に帰れば、もっとうるさく言う人がいるかもしれませんが、ま、産地直送の一級品。「天然もの」です。NHKの「養殖もの」とは一味違いますゾ!。

よく聞いていると、なにやら言霊が語りかけてくるようです。悠久の時間を経て、語り継がれてきた方言には「のどごしのよさ」がありますね。生粋の江戸っ子が話す東京弁や京都人(みやこびと)の京言葉、浪花っ子の大阪弁だってそうです。使い込まれた言葉はのどごしがよろしおすなぁ。

最後になりましたが、講師のみなさん、ご協力本当にありがとうございました!

次回は「熊野昔ばなし」です。♪坊や~、ええ子や、ねんねしな~♪♪。

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