新宮紀宝道路

新宮市と紀宝町を結び、紀伊半島を一周する高速道路の一部となる「新宮紀宝道路」(延長2.4キロ)のうち、県境の熊野川に架かる「熊野川河口大橋」(延長821メートル)がつながった。2024年秋の開通を目指し工事を進める国土交通省の紀南河川国道事務所により26日、この橋を会場にして体験学習会が開催され、地元の子どもたちが中央分離帯となる鉄筋を組み立てるなど貴重な体験をした。

新宮市あけぼのと紀宝町神内を結ぶ新宮紀宝道路は17年度に工事に着手。熊野川河口大橋は両サイドに橋台、その間に6つの橋脚があり、橋脚を起点として橋を左右に伸ばしていく「張出し架設」という工法で整備を進め、今年2月に連結できたという。

かつて、作家・中上健次は「不便な”隈”の地であっても文化を発展させることが重要」と説いたが、熊野大学創設や、熊野古道の世界遺産登録など、辺鄙なところでも頑張って来た。ただ、時代の趨勢は人口減少・流出、少子高齢化等で難問が山積みである。町の行く末が懸念される中、この開通が紀北から紀勢まで東西の流れを促進し、地元熊野の経済の活性化に繋がることを願うばかりである。