瀞峡

熊野川の支流である北山川峡谷の総称で、十津川と北山川の合流点宮井から、上流約31キロの間をいう。両岸は和歌山・三重・奈良の三県にまたがり、一帯が吉野熊野国立公園に指定されている。

渓流は、樹林地帯をぬってはげしく蛇行しているが、両岸は断崖絶壁で、いたるところ奇岩怪石や深淵をつくり、見事な峡谷美を展開している。

瀞峡の成因は、太古、ここに存在していた大瀑布が侵食作用で後退を続け、その滝壺の連続によってできたものと考えられている。いまでも北山川源流の大台ヶ原や熊野地方は雨量が多く、急流をなしていることから、浸食活動が相当活発であったと推測される。

峡谷は下流から下瀞・上瀞・奥瀞と三分され、町内玉置口から奈良県十津川村田戸までの約1.2キロを下瀞、その上流約2キロを上瀞、さらに上流の七色までの約28キロを奥瀞と呼んでいる。このうち、最も峡谷美に富んでいるのは下瀞で、俗に「瀞八丁」ともいい、国の特別名勝・天然記念物に指定されている。上瀞と奥瀞は、下瀞とくらべてひとまわり規模が小さく、岸の高さも減じるが、水流が激しく景観は豪壮である。

瀞峡の探勝は、春から晩秋にかけてが特によい。沿岸のツツジ・シャクナゲ・サツキなどが新緑に映える初夏、紅葉が清流を彩る晩秋はともに美しい。熊野川町志古から上瀞まで、ウォータージェット船が往復している。

ジェット船は、時速40キロで、所要時間は志古・上瀞間の往復が2時間となっている。なお、志古へは、紀伊勝浦駅・新宮駅からそれぞれバスで連絡している。

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