がんを考える㉔~医療情報の探し方
がんに限らず、大きな病気をしたときには、まず第一に、頼りになる情報が欲しいものです。もちろん、専門家である医師の話をよく聞くことは重要なことですが、ただ一方的に言われるだけでなく、対等に話ができるような場面が必要な時もあります。時代が変わり、新しい発見や研究によって従来の医療情報が古くなっている場合もあります。
ネット上には医療情報が溢れていますが、玉石混交とも言われ、偶然見つけたひとつの情報を鵜呑みにすることは避けねばなりません。厚生労働省も、「鵜呑みはやめよう」と呼び掛けており、正しい情報を見分ける方法として「情報発信者」「情報源」などがきちんと明示されているかどうかが大切になってきます。信頼性を判断するのは容易いことではありませんが、まず公共性がひとつの目安になるかもしれません。
こうした医療情報の発信は、多くの新聞社やテレビ局も力を入れています。NHKの「健康ホームページ」、読売新聞の「ヨミドクター」、毎日新聞の「医療プレミア」、日本経済新聞の「日経Gooday」、朝日新聞の「アピタル」、また、医療系の専門出版社が運営したり、医師などの専門家がヘルスケア情報を発信しているサイトもあります。これらは、内容も充実したものになっているようで参考になります。
一例として、2010年4月に始まった朝日新聞の医療サイト「アピタル」(有料)を覗いてみましょう。アピタルの特徴としては、①記事は毎日更新、②内容をテーマで分類、③独自コラムも豊富、④動画で理解を深める、⑤過去の記事も読める。アピタルには、朝日新聞に掲載された医療や健康、介護についてのすべての記事があり、「医療・病気」「健康・予防」など6つに分類されており、欲しい情報を素早く探すことができます。
アピタルが、大切にしているのは、患者や家族に役立つ「ハウツーもの」。具体的に「こんな悩みがある」「この問題を解決したい」という願いに応えてくれます。編集部が独自に取材した記事や、専門家によるコラム、連載も豊富です。
私たちも、今年初めて大きな病気をして、毎日、いろいろな医療情報をネットで調べました。病院で医師や看護師から聞いた情報や友人や薬剤師から聞いた話を、ネットではどうなっているかと確かめたこともありました。何もわからず不安な気持ちでいることは決していいことではありません。たとえその病気が治癒しても、後にその時の不安が原因で新たな病気を引き起こすこともあります。
私たちの場合は、がんという病気に初めて遭遇して、当初はまったく知らないことだらけでした。自分が罹った病気を早く治すという目的でいろいろと調べました。病気そのものについては言うまでもありませんが、その病気が原因で引き起こすさまざまな体調の変化もあります。食欲不振になったり睡眠不足が続いたりなど、ひとつひとつ勉強しながら、医師と相談して治療に取り組んできました。
昔からよく言われていることやネットで見つけた話題も医師にぶつけてみて、その先生はどんな意見を持っているのか聞いてみることも度々ありました。正しいことは正しいと間違っていることは間違っているとはっきり指摘してくれました。自分自身でも少し勉強して、心配事があれば自分たちだけで抱え込まず、医師や看護師などに気持ちを伝えて不安をなくすことが大事だと思います。
いろいろご覧になって、気に入ったサイトがあれば、利用してみるのはいいことだと思います。しかし、数多ある情報の中から正しくて有益な情報だけを選択して活用する情報リテラシーを持っていることも重要です。そのためには、欲しい情報にぶつかったら、まずその情報の提供者が何者で信頼に値するかどうかをまずしっかり見極めることにしましょう。それさえ忘れなければ、ネット上でも役に立つ情報はたくさんあります。