チーズの基礎知識5~製法

チーズの作り方は言ってみれば液体である「乳」から個体を作りだす作業であり、主な工程は次の3つのっ段階に分けられる。一例とし。て、牛乳を用いたセミ・ハードタイプのチーズの製造工程をみてみよう。

1.原料乳を調整し、凝固させる
原料乳は作りたいチーズのタイプに応じて、脂肪調整が必要な場合は脂肪分を取り除いて調整を行う。伝統的なチーズは無殺菌だが、大量生産されるチーズは低温加熱処理を施した後、製造工程に入る。まず原料乳を加温してスターター(培養した乳酸菌)を加え、乳酸菌や酵素を活性化させる環境を整える。乳酸菌が増殖したところでレンネット(凝乳酵素)を加え原料乳を凝固させる。

2.凝固したカード(凝乳)より水分(ホエイ)を分離させ型に詰める。

原料乳が凝固してカードの形態になったら、カードの収縮とホエイの排出のためカットし、攪拌・加温する。
カードが製造するチーズに適した収縮状態となったら、ホエイを分離して成形する。形や大きさは「モールド」と呼ばれる型で決まり、カードを四角いバットで固めた後カットして入れたり、そのままお玉やお椀のような道具で直接入れたり、布で集めてからそのまま移すなど、チーズの種類によって詰め方がある。

3.型から取り出し熟成させる

カードからホエイを抜いて成形したものは「グリーンチーズ」と呼ばれる。熟成させるタイプのチーズは、これに加塩を施して熟成させる。

期間はチーズのタイプにもよるが、一定に保たれた温度と湿度の下で1~2週間、長いもので1~2年に及び、微生物や酵素がタンパク質や脂質を分解してアミノ酸や脂肪酸を生成し、チーズごとに独特の風味を生み出す。

チーズの種類によって熟成の温度や湿度、通気の加減はさまざまで、ウォッシングやブラッシングなどの手入れを施すものもある。

カッテージチーズ
1原料乳 脱脂乳を殺菌後、スターターを添加し、30℃前後ににして乳酸発酵を促す。
2凝固 少量のレンネットを入れることもある。凝固後カッティングを行う。
3加熱 攪拌しながら50℃前後まで加熱する。
4ホエイ分離 カード粒を水洗いし水を切る。その後、クリームをドレッシングすることもある。

 

パルミジャーノ・レッジャーノ
1原料乳 前日の牛乳を静置分離で部分脱脂したものと朝の乳を混ぜて釜に入れて温め、前日のホエイをスターターとして加える。
2凝固 レンネットを添加。10~12分で凝固する。
3カッティング カードをすぴーので米粒大にカットする。
4ホエイ分離 攪拌しながら約55℃まで温度を上げる。45~60分後、カードが底に沈んだらその塊を半分にして布に包み釜の中につるす。
5成形
(プレス)
締め付け自在のモードルに入れ、その日の夕方、胴が膨らんだステンレスの型に入れ替えて2~3日間おき、太鼓型のチーズをつくる。
6加塩 型から取り出し、飽和食塩水に20~25日間浸漬する。
7熟成
熟成庫で最低12カ月、通常24ヶ月間熟成させる。熟成中はブラッシングが行われ、出荷時には1玉1玉叩いて品質検査が行われる。

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