「春夫詩句を拾う!!」連載開始のお知らせ

昨秋より熊野新聞に、そしてその後、佐藤春夫記念館ブログに掲載中の、辻本館長のブログ「春夫詩句を拾う!!」を、許可を得て、当熊野エクスプレスにても連載することになりました。
どうぞお楽しみください。
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春夫詩句を拾う!!(1)

空青し山青し海青し

日はかがやかに

南国の五月(さつき)晴れこそゆたかなれ        
(一九三一年六月「望郷五月歌」(ぼうきょうごがつか)『閑談半日(かんだんはんにち)』所収)

「塵(ちり)まみれなる街路樹に / 哀(あわ)れなる五月(さつき)来にけり」で始まる、全編五〇行の長編詩。ここから後半の、南国の風物の思慕(しぼ)に移る。
「五月晴れ」は、旧暦では六月の梅雨時(つゆどき)の晴れ間の意。だから、この詩の光加減には、どこか水分を湛(たた)えている気配(けはい)の彩(いろどり)がうかがえるはず。「ゆたかなれ」の表現には、単なる風景ではなく、ゆったりとそこに生きている人々を包み込んでいるような雰囲気(ふんいき)もある。
春夫は長年の望みがかなって、谷崎夫人千代と結婚、しかし春夫は脳溢血(のういっけつ)で倒れ、千代には看病の新婚生活が始まる。春夫のリハビリ、静養を終え、ようやく東京生活に帰って間もなくの作品がこれ。熊野速玉大社境内のこの詩碑は、自筆の冒頭一九行を陶板に焼き出したもの。掲出はその終りの三行。

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