高尾山体験記(5)四季の楽しみ

登山ルートが「自然研究路」と命名されていることでもわかる通り、高尾山は「野草の宝庫」とも呼ばれるほど植物の種類が豊富で、四季折々に様々な花や景色を楽しむことができる。​高尾山の四季の見どころを、代表的な植物とともにご紹介しよう。

春(3月〜5月)
花の妖精とスミレの饗宴
春は、雪解けとともに次々と花が咲き始める、高尾山で最も華やかな季節。
早春 (3月頃) 梅、ヤマルリソウ、ハナネコノメ、アオイスミレ 麓の高尾梅郷の梅が咲き誇り、甘い香りが漂う。林床では、ハナネコノメなど「春の妖精」と呼ばれる小さく可憐な花が咲き始める。
春本番 (4月〜5月)
スミレ類、カタクリ、ニリンソウ、ヤマザクラ 高尾山はスミレの種類が多く、「スミレの山」とも呼ばれる。タチツボスミレ、エイザンスミレ、ヒナスミレなどが咲き競い、林の梢ではヤマザクラが咲き、新緑が芽吹く。6号路はユリワサビやネコノメソウなど春の花の観察におすすめ。
ポイント:
​特に4月下旬〜5月上旬は、様々なスミレや樹木の花が一斉に咲き誇る、まさに花のラッシュ。​高尾山で発見されたタカオスミレを探してみるのも楽しいだろう。

 

夏(6月〜8月)
涼やかな沢と夏の野草
山全体が緑の葉で覆われ、登山道沿いの沢や木陰で涼しげな花が見られる。
初夏 (6月頃)  ウツギ、ササユリ、ギンリョウソウ、ヤマアジサイ ウツギやヤマアジサイなどが開花し、山が深い緑に包まれる。薄暗い林床では、葉緑素を持たない菌従属栄養植物であるギンリョウソウ(銀竜草)がひっそりと姿を見せる。
盛夏 (7月〜8月)  ヤマユリ、タマアジサイ、イワタバコ、ヤブラン 
ポイント:
1号路のケーブルカー山上駅付近や薬王院周辺は、ヤマユリの群生地として知られている。
​6号路などの沢沿いのルートは、湿度の高い場所を好む植物(例:イワタバコ)の観察に適している。

 

秋(9月〜11月)
紅葉と野菊の季節
紅葉の美しさが際立つ季節ですが、足元では野菊の仲間がひっそりと咲いている。
初秋 (9月頃)  ホトトギス、ツリフネソウ、ツルギキョウ、キバナアキギリ 秋の七草の仲間など、秋を告げる草花が見られる。独特な模様が特徴のヤマホトトギスや、釣り船のような形をしたツリフネソウなどが咲く。
紅葉シーズン
(10月下旬〜12月上旬) 

紅葉(イロハモミジ、オオモミジなど)、シモバシラ(開花)
ポイント:
紅葉のピークは例年11月中旬〜下旬頃です。山頂からケーブルカー沿線まで、長期間楽しめる。カシワバハグマやシロヨメナなど、野菊の仲間を探しながら歩くのも趣があります。

 

冬(12月〜2月)
氷の芸術と常緑樹の森
​冬は一見地味だが、高尾山の植生の特徴である常緑樹の森(シラカシなど)が常緑の葉を保つ中で、独特の現象が楽しめる。
初冬 (12月〜1月)  シモバシラの氷の華 植物のシソ科の「シモバシラ」の茎が枯れた後、根が吸い上げた水分が氷点下の外気に触れて凍りつき、まるで白い花のような氷の芸術を作り出す。早朝の冷え込んだときに見られる。
厳冬期 (1月〜2月)  常緑樹の森林
ポイント:
​​シモバシラは1号路と6号路をつなぐ道、5号路やもみじ台周辺などで観察されることが多い。​高尾山麓にある「TAKAO 599 MUSEUM」でも、シモバシラの氷の華を比較的確実に見られる場所がある。このように、高尾山は一年を通じて様々な表情を見せてくれる。

 

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