伊勢神宮の宇治橋は、式年遷宮に合わせて20年ごとに架け替えられる木造橋で、現在の制度は明治22年(1889)から続いている。戦後の混乱を経て、遷宮の4年前に架け替える慣例となった。
宇治橋の基本情報
– 場所:伊勢神宮内宮の入口、五十鈴川に架かる参道橋
– 構造:木造の和橋(全長101.8m、幅8.4m)
– 材質:橋板・欄干は檜、橋脚は水に強い欅を使用
– 特徴:欄干に16個の擬宝珠を据えた反り橋。両端に高さ7.44mの大鳥居が立つ
架け替えの歴史と制度
– 古来:傷みが激しいときに修繕や架け替えを行っていた。
– 明治22年(1889)以降:式年遷宮に合わせて20年ごとに架け替えが制度化。
– 戦後の特例:第59回式年遷宮(1953)が延期された際、全国の崇敬者の熱意で予定通り昭和24年(1949)に宇治橋だけ架け替え。
– 以降の慣例:遷宮の4年前に宇治橋渡始式を行う流れが定着した。
架け替えの工程と儀式
– 修造起工式:橋の守護神・饗土橋姫神社で工事安全を祈願し、橋杭を打ち固める儀式を行う。
– 仮橋の設置:工事期間中は仮橋を建設して参拝者が利用できるようにする。
– 渡始式(わたりはじめしき):新しい橋が完成すると、11月3日に渡始式が行われる。平成21年(2009)にも実施。
再利用の仕組み
– 大鳥居の材:内側の鳥居は内宮旧正殿の棟持柱、外側は外宮旧正殿の棟持柱を使用。
– その後の役割:20年後には「関の追分」や「七里の渡し」の鳥居として再利用され、計60年の役目を果たす。
意義
宇治橋は単なる参道橋ではなく、俗界と聖界を分ける象徴的な存在である。架け替えは木造橋の耐久性維持だけでなく、神宮の「常若(とこわか)」思想を体現する重要な儀式でもある。
宇治橋の架け替えには、「すりあわせ」という船大工の独特の技法がある。次に、このすりあわせ技法について紹介したい。
~つづく~
