神宮を語るにあたって避けることのできないことのひとつは式年遷宮についてであろう。式年遷宮(しきねんせんぐう)は、伊勢神宮の最も重要な祭儀の一つで、約1300年にわたって続けられてきた伝統行事である

基本的な概要

20年に一度、内宮(皇大神宮)と外宮(豊受大神宮)の正殿を始め、14の別宮、すべての鳥居や装束、神宝など、合計1,576点に及ぶものを新しく造り替え、神座を遷す。

式年遷宮の意義
・技術の伝承: 20年という期間は、宮大工などの職人が技術を次世代に伝えるのに適した年月とされている。親方から弟子へ、確実に技術を継承できる期間というわけだ。
・常若(とこわか)の思想: 神道の「常に若々しく清浄であること」という精神を体現している。社殿を新しくすることで、永遠の若さと清らかさを保っている。

・循環の思想: 古い社殿の材木は、他の神社の修復などに再利用され、無駄なく活用される。

 遷宮の準備と過程
式年遷宮は8年がかりの大事業である。
・木材の調達: 木曽のヒノキなどを使用
・御装束神宝の製作: 伝統技法による調製
・社殿の造営: 伝統的な建築技法「唯一神明造」による建設
・遷御の儀: クライマックスとなる神体の遷座

最近の式年遷宮
・第62回式年遷宮: 2013年(平成25年)
・次回の第63回式年遷宮: 2033年に予定

特徴的な建築様式
「唯一神明造」という日本最古の建築様式が用いられ、釘を一本も使わない伝統工法で建てられる。掘立柱、茅葺屋根、千木(ちぎ)と鰹木(かつおぎ)が特徴的。

式年遷宮は、単なる建て替えではなく、日本の伝統文化、技術、精神性を次世代へ継承する壮大なプロジェクトなのである。