我がらの新宮弁講座⑭~生きもの熊野紀行

今日は極東の島国、日本列島のほぼ中央部に位置する、霊気漂う熊野地方の生きものを覗いてみましょう。
(語り・柳生熊博/宮崎美熊子)

【陸編】
雨あがりの熊野の午後のひととき。宮崎さん、見て下さい。でんでんむし(まいまい=かたつむり)とやねひき(巨大ナメクジ)が庭の上を、ゆっくりゆっくりと這っていますよ。ネバネバしたヤニのような跡を残しています。もしかすると「ヤニひき」といった方が正しいんでしょうか。土地の人は、やねひきが家の周りを這っていても、行く手をさえぎったり、取り除いたりはしません。なぜなら、やねひきが残していったネバネバの跡を、ヘビがとっても嫌がると言うんです。ヘビの侵入を防いでくれているというワケですね。

宮崎 「まぁ、おもしろい。何か科学的な根拠でもあるんでしょうか?。でも、大切というワリには、塩をかけていじめたりも
していますね」

あっ、宮崎さん。水たまりのところで、あしまき(黄褐色の極細ラーメンのような生物)がクネクネとスローな動きをしていますよ。

宮崎 「本当に変わった生きものですね。最近はほとんど見かけなくなった、と聞いていましたが・・」

畑を見てみましょう。おんごろもち(モグラ)ですよ。おがも(かまきり)もいます。ちんちろ(コオロギ)やギス(キリギリス)にガチャガチャ(くつわむし)もいますね。

山に目を転じてみましょう。いました、いました!。伝説の生きもの、ツチノコですよ!。熊野には「槌の子」という地名があるほどです。バス停も「槌の子」です。

宮崎 「そうですか?。私には見えませんが・・」

(柳生・無視する)
おっと、いましたよ。ふるつく(ふくろう)です。シシ(イノシシ)もいます。草むらでは、ハビ(まむし)が身構えています。ここは危ないですね、宮崎さん。ふもとへ戻りましょう。見て下さい。いたくら(スズメ)が並んでとまっていますよ。

宮崎 「まぁ、カワイイ!」

あ、宮崎さん。足元に平八(へーはち&あまめ=ゴキブリ)が・・。

宮崎 「キャーッ!」

【川編】
熊野川上流部・北山川を覗いてみましょう。清流の女王・アイ(鮎)がハミ(藻)を食(は)んでいます。おや、大きな岩かげではガブ(あゆかけ)がアイを一匹、ゲットしましたよ。オコゼみたいで強そうです。

ガブは、エラにあるエギ(曲がったトゲ)でアイを引っ掛けます。ガブが鮎とり用の網に掛かったりすると、もうばたくって、エギや手に刺さって、はずすのにそれはそれは大変です。ガブより小ぶりなヒメキ(カジカ?・ドンコ?)もいますね。
大きな岩にはスイツキ(ボウズハゼ)もたくさんいます。ウナギも健在です。

これらの魚は、清流を好む魚たちです。今年はガブがすごく増えたそうです。水が澄んできた証拠ならいいんですが。

宮崎 「ダムがあってもこうなんですね。もしなければ、高知の四万十川よりきれいな川に・・。うーん、残念。世界遺産に
花を添えられましたね・・」

ぬくみ(川の流れのゆるいとこ)に行ってみましょう。ハイコンベ(はや)がたくさんいます。お腹の赤い赤バイや、カラフルで熱帯魚のような五色バイもいますよ。

ズガニ(モクズがに)も見えます。ジャコ(はぜ)もウジャウジャです。

みと(流れの中心)を見てみましょう。ノボリ(サツキマス)にスズキですね。ブルーギルの「ごくとれ」も最近は増えてきましたね。

オーッと、宮崎さん。謎の生物「ガランボ」が現れましたよ。今夜のスペシャルゲストの登場です。ナウ!レディッスンジェナマン!。

We present you so very mysterious Monster in KUMANO!.
This is our GARAMBOO!!.
Hey you come on!!.カモン!。

お、なんど盛り上ってますね。ガランボは悪い子を、川の底、深かーに引き込んでしまうという、奥熊野の伝説の生き物です。

キュウリ食べて、すぐ川ぃ行ったらやってくる言うさか、河童のようなもんでしょうか?。

宮崎 「そうですか?。私にはまた、見えんけど・・」

あのー、見える言うて下さい。夢ゃこわれてしまいます。

宮崎 「あ、すみません。ハイ、見えました。ガランボは、きれいな水が好きやそうです。自然を大切にせなアカンでー!」

次回は「災害編」です。乞うご期待!

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