東仙寺

王子神社(祭神稲飯命・三毛入野命)は、熊野速玉大社から阿須賀神社を経て、さらに海岸沿いに那智へ向かう旧熊野街道脇に鎮座している。県指定史跡の熊野九十九王子の一つで、浜王子とも称した。この付近を下熊野地というが、かつて市田川の左岸に源為義の10男・新宮十郎源野義盛(行家)屋敷跡があり、その子孫が新宮氏を名乗り、そこに代々住んでいたという。

王子神社の南西に東仙寺(真言宗)がある。大治5年(1130年)、「たつたはらの女房(別名熊野鳥居禅尼)」が丹鶴山に建立した寺で、幾多の変遷を経て現在地に再興された。その禅尼が祈念仏としていたのが、東仙寺の阿弥陀如来坐像・薬師如来坐像・千手観音菩薩坐像の三尊像である。

県指定文化財の阿弥陀如来坐像・薬師如来坐像はともに平安時代後期に制作されたが、千手観音菩薩坐像は古像を模して室町時代に新しく制作されたものである。

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