勝浦港

那智勝浦港の海岸線は、典型的なリアス式海岸である。細長い半島に3方を囲まれ、南の入り口付近に中の島を有する勝浦湾の奥まったところにある勝浦港は、日本有数の遠洋漁業基地になっている。この勝浦港があるおかげで我々熊野人はマグロをはじめとした美味しい魚を満喫することができている。

勝浦湾のすぐ外の半島の先の海には、紀の松島と呼ばれる大小130余りの変化に富んだ島々が点在しており、観光船でこの大自然が作り出した素晴らしい景観を満喫することができる。

勝浦湾に臨む勝浦温泉は、紀南地方を代表する温泉郷で、近代的な旅館やホテルが半島部や大小の島につくられ、現在では那智湾に臨む北浜地区にも広がっている。

かつて勝浦港東方の秋葉山腹には、平安時代に創建されたという松音寺があり、本堂に安置された波切不動尊は、江戸時代に勝浦港に立ち寄る多くの漁民たちの信仰を集めていた。しかし、いつの頃からか寺勢が衰え、廃寺となった。本尊の波切不動尊は、現在、秋葉山腹にある海翁寺(臨済宗)に安置されている。海翁寺は、覚心を開山とする寺で、前身は興国寺(由良町)の末寺であった。

那智川の河口付近にある天満港は、室町時代末期までは陸海交通の要衝で、「那智の天満か備後の鞆か」といわれるほどの良港であった。その繁栄ぶりは当時制作された「熊野那智参詣曼荼羅」からもうかがい知ることができる。

天神社(天満宮、祭神大国主命ほか)は、JR気勢本線紀伊天満駅前、天満地区のほぼ中央に鎮座している。天神社は、熊野那智大社の末社であり、その様子は「天満神社古記録」に詳しく記され、例祭日には現在でも獅子舞神楽と御弓神事が行われている。

(八咫烏)

 

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