ロープ

088e7e3d032fe73d87b08d0cfcb0a9c2_s荻悦子さんが、新企画の「Aさんのヨット通信」をご覧になってコメントに書いてくださったように、以前書かれた詩を披露してくれることになりましたので以下に紹介します。
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ロープ

桟橋の手すりの支柱が新しくなっている

男が二人

長いロープを波打たせながら捌いている

Tシャツの半袖を肩にたくし上げ

腕をリズミカルに動かし

白木の角材の穴にロープを潜らせる

一本の柱に穴は縦に二つ

やっ

おっ

声をかけあって引っ張り合うと

高い手すりと低い手すり

二段の手すりが出来上がった

 

海の上の大気

存在しない境界をあるかのように

亜麻のロープは

綾を硬いプラチナにきらめかせる

 

ロープの内側を進んでいく人達がいる

肌が白い若い夫婦

紺のサロペットを着た幼い男の子

男の子はサングラスを手で振っている

駆け出し

しゃがみ込む

その姿が紡錘形や三角柱になる

 

オリーブ色のヨットに行き着くと

紺のサロペットは丸まって

背の高い父親に抱き上げられた

男の子はサングラスを父親の顔に掛けた

母親は帽子を風に飛ばされそうになった

つばが広いラフィアの帽子

母親の巻き毛は泡立つように淡く赤い

 

潮が薄く匂う

きらめくロープ

あのひとはウラウディア

母親だけにそう名前を付けて

桟橋のこちらから

いきずりの異国の家族を眺めている

ロープ” に対して1件のコメントがあります。

  1. 大石喜造 より:

    異国情緒あふれる綺麗な詩ですね。
    情景が目に浮かびます。
    場所は南仏、コートダジュール 、ニース、モナコかも?
    ロンドンも素敵な都会ですね。

    ヨッティの彼は現在、隠岐 西ノ島を本日05:30出港して、鳥取に向かっています。
    後ろからの風と波でローリングが凄い。  とのこと。
    振り飛ばされないように! たのみまーす。
    夕方、港に着く予定とのこと。

    彼からのlineでの会話、毎日凄く楽しみにしてるんです。
    だって家に居ながら、あちこち旅行気分が味わえるのですから。
    幸せです。
    新宮ネットご覧のみんなにも楽しんで頂けたら嬉しいです。

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