荻悦子詩集より~「残響」

残響

投げられた
マンドリン
波うち際
胴の中を走る
微量の砂

波のざわめきを割って
ゆれあがる残響
硬く厚く
明け方
壁の海図に
亀裂を走らせる

いくつもの半島
横たわる湾
砂丘をなぞり
汀をなぞり
見知らない海鳥の影
越えていく残響

冷たい水
髪から
肩に胸につま先まで
方形に凍ったまま
眼をひらく

明け方の
まだ暗い海の波

荻悦子詩集「流体」より

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