荻悦子詩集より~「燕」

tsubame2  燕

浮いたとたん
狂ったような速さ
激しく沈み
急に向きを変える

ああっ
ぶつかってくる
思わず目をつむる人の
頭上すれすれに
数羽
やみくもに飛ぶ

曲がり角
きれいに反れ
生け垣の
繋がった枝葉より低く
二羽
ぐんと去る

歩いていた人は
置き去りにされる
足元にくぐもった地熱を
急に感じる
今は六月のただなかと知る

霧雨が降り

激しく揺れ

空中で何かを

産み継ぐことに
これほどにも憑かれ

速く
とても低く翔ぶ

荻悦子詩集「流体」より

 43 total views,  4 views today

0

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です