荻悦子詩集「流体」より~「空・五月」

 空・五月

 

野鳥が
ピシピシ
鳴きながら
空の端を綴じて行く

目の粗い布
漉されるというより
自ら迸り出る
果汁
朝の音

松の木の
新しい銀の花穂
幹から枝へ
絡みついた蔦にも
柔らかな若葉が重なって垂れ
野鳥の鋭い声を吸う

双眼鏡を手に
振り返って
父を呼ぶ
いつまでも四歳の
神学者の空にいる娘

野鳥が
ピシピシ
鳴きながら
時の涯を綴じて行く

 

 

荻悦子詩集「流体」より

 181 total views,  1 views today

荻悦子詩集「流体」より~「空・五月」” に対して1件のコメントがあります。

  1. e.o より:

    ありがとうございます。このように若い詩はもう書けないという気がします。
    太地会へのご参加、良かったですね。楽しかったでしょう。町長さんが、ご出席でしたか。文芸関係の知人から、太地のことを訊かれたことがありました。三軒さんが学生時代にその人の家のアパートに住んでいた
    のだそうです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です