荻悦子詩集「樫の火」より~「徴」
ようやく秋本番といった季節になりましたが、みなさま如何お過ごしでしょうか。秋と言えば読書の秋。新宮市熊野川町出身の詩人・荻悦子さんの詩の世界に浸ってみませんか?
昨年、出版されたばかりの詩集「樫の火」(思潮社)の中の一遍「球形の蕾」を紹介しましたが、今回はその中の他の作品を順次紹介していきたいと思います。
徴(しるし)
夕ぐれ 彼方にもうない源 徴を目にしたとき 無くなった 空に残滓が光って走り抜ける ことは私たちの外にあり 昼と夜とを果てまで水が尽きるまで どことも知れない縁へ逸れていく この星に錘を垂らし私たち |
荻悦子(おぎ・えつこ) 1948年、新宮市熊野川町生まれ。東京女子大学文理学部史学科卒業。お茶の水女子大学大学院人文科学研究科修士課程修了。作品集に『時の娘』(七月堂/1983年)、『前夜祭』(林道舎/1986年)、『迷彩』(花神社/1990年)、『流体』(思潮社/1997年)、『影と水音』(思潮社/2012年)、横浜詩人会賞選考委員(2012年、16年)、現在、日本現代詩人会、日本詩人クラブ、横浜詩人会会員。三田文学会会員。神奈川県在住。 |
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管理人様、ご夫婦で病後の療養に心を砕いておられるご様子に、私は深く感じ入っております。ご安寧を念じております。そのような時に、私の詩集「樫の火」のご紹介をしていただきますこと、まことに恐縮に存じます。この秋、日本詩歌句協会というところから下位ですが、奨励賞という、励ましをいただきました。年齢を言い訳にせず、精進したいと存じます。
奨励賞受賞おめでとうございます!紹介させていただいている自分にとっても大変うれしいことです。過日105歳の長寿を全うされた聖路加病院の名誉院長・日野原先生がおっしゃる、「70歳になったら新しいことを創めよう。」という言葉が好きです。詩を書くという同じことであっても、磨き抜かれた「新しい感性」が生まれるということもあるのではないでしょうか?今後ともますますのご活躍を期待しております。
病と闘うということも人生で必要な試練だと思います。私は、これまで40数年、妻に何もしてやれませんでした。今、ただそばで支えるだけですが、初めて少しは役に立っていると思えて、その意味では幸せです。妻はそんな余裕はないでしょうが、同じようにこのことに幸せを感じるようになってくれればうれしいです。