2020-09-26 / 最終更新日時 : 2021-10-01 Tony 荻悦子 荻悦子詩集より~「薔薇の谷」 薔薇の谷 ひそかに 父の椅子を外して 始まった秋 大きな実がはじけ 鳥が群がる あらゆる方角で 歓声ばかりが大きく 熟れすぎてか 熟れないままでか 実はみずから あらわに皮を剥ぐ どこから取りつくにしても やがて 寂しい芯 いつまでも 胃を刺す黒い種 垂れた犬の耳が 鳥たちの落ちる地点を予測し 切り石の縁が 光を刃のように尖らせる その下に眠る人たち 震える葉むら 薔薇の谷 風の慰撫は素早い 荻悦子詩集「流体」より 共有:クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます) コメントを残す コメントをキャンセルメールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目ですコメント ※ 名前 ※ メール ※ サイト 次回のコメントで使用するためブラウザーに自分の名前、メールアドレス、サイトを保存する。 Δ