伊勢街道巡り旅.46~袖壁

関宿の古い町家の多くには袖壁がある。白壁に大きく屋号を記して看板の役割を果たしている。袖壁は、関宿の町家の2階両端から突き出た壁で、隣家から火が移ってくるのを防ぐ防火のための設備で「袖うだつ」とも呼ばれ、大きな屋根を持ち出すための支えにもなっている。

会津屋の袖壁
あいづや 会津屋
京都方面 江戸方面

関宿では町家は正面の柱の位置を揃えて並んでいる。このため、建物から通りに向かって突き出た袖壁は、街道を歩く人たちへのアピール度が高く、ここに屋号を記して看板として使っていた。

会津屋は、「関で泊まるなら鶴屋か玉屋、まだも泊まるなら会津屋か。」と唄に歌われたという関宿を代表する旅籠のひとつであった。関の名所である関地蔵院(地元では親しみを込めて“地蔵さん”と呼ばれる)の門前にあって、朝目を覚ますとそのまま“地蔵さん”を拝むことができる旅籠として有名だったとか。2階の軒が周りよりひときわ高いのも、袖壁の屋号を頼りに会津屋を目指してやってきた多くの旅人を泊めてきたためなのであろう。

さて、この袖壁を使った看板。“漢字”と“ひらがな”で書き分けられている。これには逸話があって、江戸から来た人は“ひらがな”を、京から来た人は“漢字”を見るように書かれているらしいのだ。そう、和菓子屋・深川屋の庵看板と同様である。

関宿の街道筋は一本道。朝旅籠を出て最初に向かう方向を間違えてしまうと、どこまで進んでも決して目的地には近づかない。まず最初に確認すべきは袖壁の文字ということなのだ。

旅人をもてなしてきた宿場町“関宿”らしいお話で、このセンス、筆者は好きだ。“漢字”と“ひらがな”を探しながら、関宿を歩いてみるのも一興である。

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