コッツウォルズ紀行⑭~カッスルクーム

やがて車はM4J17で高速を降りA429を南に向かう。 地図を頼りにしばらく行くがB4039に入る右折する道がわからない。 標識がないのである。 こういう時は慌てないのが得策。 高速で一度も休憩せずに飛ばしてきたし朝のコーヒーも飲みたかったので近くのコーヒーショップに立ち寄ることにする。

「Little Chef」というファーストフ-ドレストランであった。 ここの店員さんにカッスルクームへの道を聞くとすぐにわかった。 レストランを出て左折し次の信号を左折すればよいとのこと。アドバイスに従ってしばらく行くとそれらしき家並みが見えてきた。なるほどこのあたりがそうなのかと思いつつ車を進めて行ったが、家並みがなくなってしまった。

え?たったこれだけ?そんなはずはないよと、もと来た道を戻るが、通りに標識もない。 あきらめきれず2度、3度と行ったり来たりしているうちに細い道を少し入ったところに大きな駐車場を見つけた。案内板など何もなく、時間が早いせいか、車も1台も停まっていないが紛れもなく大型バスが10台でも停められる駐車場である。 駐車場があるということは歩いて行ける近くに「それ」はあるはずである。

駐車場から細い坂道を右に降りて行くと小さな村の中心に出た。その中心から一方の家並を見たとき、これだとわかった。 あの「ドリトル先生」に出てきたあの景色であった。その「一幅の絵」は背後から朝日を浴びて静かに佇んでいた。時刻は朝08:00で観光客は我々以外一人もいない。こういう景色は落ち着いたゆったりした気分になれる。

「全英一、最も古い街並みが保存されている村コンテスト」で何回も表彰を受けているのがこの村だ。17、18世紀に建てられた家並み、村の中心となるマーケット・センターなど素朴な建物が、少しも手を加えることなく残されている。

ベンチに座っていると異次元の空間に迷い込んだようなそんな気分だ。たっぷりと時間を取って散策しながら写真も撮った。 まさか人っ子一人写っていないカッスルクームが撮れるとは思いもよらなかった。後で聞くと、カッスルクームはイギリス全土のなかで最も多く写真に撮られる場所なのだそうだ。

それにしても、途中であきらめて帰らなくてよかったと思う。 こんなものかと途中で引き上げていたら何の為にわざわざ来たのかわからないところであった。 かくして、少しまごまごしながらでも最初の訪問地は無事「歩き」終えて、次の目的地バイブリーに向かう。

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