がんを考える52~乳がん(再発リスク2)

発見時のステージ別・乳がんの再発リスク

サブタイプ分類のほか、発見時のステージによっても乳がんの再発リスクは変わっくる。どのようながんでも、発見が早ければ早いほど治療が簡単に済み、再発リスクも少ないことが一般的だ。乳がんでも、はっきりとその傾向がみられる。

乳がんのステージ別の生存率
ステージ分類 5年生存率 10年生存率
0期 100% 100%
Ⅰ期 98.4% 96.3%
ⅡA期 95.8% 91.5%
ⅡB期 86.4% 74.8%
ⅢA期 66.2% 52.0%
ⅢB期 71.6% 55.1%
Ⅳ期 31.0% 24.1%
<大阪労災病院「乳癌治療成績(2014年)」より>

上記の表を見ると、もっとも早期である0期・Ⅰ期の乳がんでは、ほぼ100%近くの患者さんが5年後、10年後も生存している。一方、Ⅲ期以降では明らかに生存率が低くなっていることから、再発リスクの高さがうかがえる。

乳がんが再発した場合は、「慢性疾患」として

乳がんは他のがんと比べると長く付き合わなければいけない病気だが、実際の再発例は他のがんと同じく、ほとんどが術後3年以内に集中している。ただし一部の患者では、5年後、10年後にも再発するケースがある。

たとえば元キャンディーズの田中好子さんは、最初の治療から19年も後に再発・転移した乳がんで亡くなった。「10年が一つの目安」とされている乳がんだが、実際は田中さんのように、非常に進行のゆるやかながんが長い間、体内に残る可能性もゼロではない。

しかし、再発を気にしすぎて毎日を鬱々と過ごすのは精神衛生上良くありません。初回治療で出来る限りのことをしたのであれば、あとは定期的にしっかりと経過観察の検診を受けながら、毎日を溌溂と過ごすことが一番でしょう。病は気からという通り、そのほうが体の免疫力も上がり、再発しにくい体を作ることにもつながることでしょう。

特に乳がんのように長くつき合わなければならない病いの場合、「完治」にこだわりすぎるのも問題かもしれない。たとえば糖尿病や高血圧などの生活習慣病や、ヘルニアをはじめとする整形外科の病気は、「慢性疾患」として一生をかけて付き合っていく人がほとんどです。乳がんもこれと同じように考え、万が一再発しても、慢性疾患として気長に付き合っていくことがいいと思います。

以前と違って今は、サブタイプ別の治療が進歩してきたため、乳がんの予後はかなり改善しています。亡くなった人のことが特にニュースになるだけで、実際はそれ以上に多くの患者さんが元気に生存しているのが事実です。がんに負けずに戦うという強い意志があれば、それだけ体も強くなれることを確信しています。

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