がんを考える㊷~乳がん 13(薬物療法 – 内分泌(ホルモン)療法)

薬物療法
①内分泌(ホルモン)療法
乳がんは「ホルモン受容体」(エストロゲン受容体〔ER〕とプロゲストロン受容体〔PgR〕)のあるものと、ないものに分けることができる。「ホルモン受容体」のある乳がんでは、女性ホルモンががんの増殖に影響しているとされている。

内分泌(ホルモン)療法は女性ホルモンの分泌や働きを妨げることによって乳がんの増殖を抑える治療法で、ホルモン受容体のある乳がんであれば、効果が期待できる。

内分泌(ホルモン)療法で使われる薬剤には、抗エストロゲン剤、選択的アロマターゼ阻害剤、LH-RHアゴニスト(黄体ホルモン放出ホルモン抑制剤)などがある。乳がんの手術後や転移性乳がんに用いられる抗エストロゲン剤は、女性ホルモンのエストロゲン受容体への結合を阻害する。

選択的アロマターゼ阻害剤が作用する仕組みは、閉経後の女性に対してアロマターゼの働きを抑え、女性ホルモンの産生を抑える。閉経前の女性の場合は、卵巣からの女性ホルモンの分泌を抑えるLH-RHアゴニスト(黄体ホルモン放出ホルモン抑制剤)を併用することがあある。その他にも、プロゲストロン製剤などを使用する場合もある。

治療の目的や使う薬の種類によって治療機関や効果の目安は変わるが、手術後に行う場合は5年間から10年間の投与が標準になる。

内分泌(ホルモン)療法の副作用について
一般に、内分泌療法の副作用は化学療法に比べて軽いといわれているが、顔面の紅潮やホットフラッシュ(ほてり、のぼせ)、発汗、動悸などの更年期障害のような症状が出る場合もある。これらの症状の多くは治療を開始して数か月で治まるが、症状によっては使用するホルモン剤の種類を変更したり、症状を和らげる薬を投与したりすることもある。

また、薬剤によっては高脂血症、血栓症、骨粗しょう症のリスクが高まることが知られているので、そのようなリスクを少なくするための治療を併用することもある。

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