がんを考える㊳~乳がん 9(治療 – 再建・リンパ節)

乳がんの治療は、手術(外科治療)、放射線治療、薬物療法(内分泌[ホルモン]療法、化学療法、分子標的治療など)がある。それぞれの治療を単独で行う場合と複数の治療を組み合わせる場合がある。がんの性質や病期、全身の状態、年齢、合併する他の病気の有無などに加え、患者の希望を考慮しながら治療法が決められる。

1.手術(外科治療)
①乳房部分切除術
②乳房切除術
③乳房再建術
乳房切除後に、患者のおなかや背中などから採取した組織(自家組織)またはシリコンなどの人工物を用いて、新たに乳房をつくることを乳房再建という。乳頭を形成することもできる。再建の時期については乳がんの手術と同時に行う場合(一次再建)と数か月から数年後に行う場合(二次再建)とがある。

再建手術は主に形成外科医が担当する。従来は自家組織を用いた移植の場合にのみ公的医療保険が適用されていたが、現在はシリコン・インプラントを使う場合にも保険の適用が拡大されている。しかし、現在でも、手術の内容や病院によっては自費診療の場合がある。まずは担当医に再建の希望を伝え相談するのがよい。

④わきの下のリンパ節郭清(腋窩リンパ節郭清)
がん細胞はリンパ液の流れに乗って周辺のリンパ節に入り込み転移を起こすことが知られている。しかし、現在の手術前の検査ではリンパ節にがんが転移しているかどうかは正確にはわかりません。そこで、乳がんの手術では、わきの下のリンパ節郭清(リンパ節を取り除く手術)を行い、転移の有無を調べてきた。

リンパ節郭清を行うと、手術の後に腕が上がりにくい、痺れる、むくみといった症状が起こることがある、このため、今日では手術前にリンパ節転移が明らかな場合にのみわきの下のリンパ郭清が行われる。

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