がんを考える㉞~乳がん 5(検査・診断)

検査と診断

乳がんが疑われると、しこりや病変の存在を視診・触診およびマンモグラフィ、超音波(エコー)検査などの画像検査で確認する。次に病変に針を刺して細胞や組織を採取して顕微鏡で調べる病理検査・病理診断を行う。

また病変の状態や広がりを調べるために、必要に応じてCT、MRI、腹部超音波、骨シンチグラフィ、PETなどの画像検査も行う。

1.視診・触診 乳房を観察して形状や左右差、皮膚の変化を調べる。次に指で乳房やわきの下に触れて、しこりの性質(硬さや動き方、大きさや形、個数など)を調べる。
2.マンモグラフィ検査 病変の位置や広がりを調べるために行う乳腺専用のX線検査。少ない被曝線量で乳房組織を鮮明に映し出すために、板状のプレートで乳房を圧迫し、薄く引き伸ばして撮影する。そのため、乳房を圧迫される痛みがあるが、視診・触診で発見しにくい小さな病変も見つけることができる。

画像の性質上、乳腺の発達している若い人では、病変が存在していても見つかりにくいことがある。またマンモグラフィで高濃度乳房とされる症例(乳腺の密度が高くマンモグラフィで白く見える部分が多い状態)では、超音波検査のほうが乳がんを検出できることが知られている。

3.超音波(エコー)検査 乳房内の病変の有無、しこりの性状や大きさ、わきの下など周囲のリンパ節への転移の有無を調べる。乳房の表面から超音波を発生する器械(探触子:プローブ)をあてて、超音波の反射の様子を画像で確認する。X線のように放射線による被曝の心配がないので妊娠中でも検査が可能。ベッドに仰向けに寝た状態で受けられる検査で、痛みもなく身体に負担はない。
4.乳腺のCT検査、MRI検査 手術や放射線治療などを検討するとき、病変の広がりを調べるために行う検査。CTはX線を、MRIは磁気を使って体の内部を描き出す。

CTやMRIで造影剤を使用する場合、アレルギーが起こることがあるので、以前に造影剤のアレルギーを起こした経験のある人は医師に申しでるとよい。

5.全身のがんの広がりを検索するための検査 乳がんが移転しやすい遠隔臓器には、骨、肺、肝臓、脳などがある。がんの乳腺以外への広がりを調べるために、必要に応じてCT,MRI、腹部超音波(エコー)、骨シンチグラフィ、PET-CT検査などの画像検査が行われる。
6.病理検査・病理診断(細胞診・組織診) 病変の一部を採取してがんかどうかを顕微鏡で調べる検査。がん細胞が含まれていれば、その細胞の種類や性質なども調べる。

細胞診検査は大きく分けて、乳頭からの分泌液を採取して行う分泌液細胞診と、病変に細い針を刺し、細胞を吸引して行う穿刺吸引細胞診がある。身体への負担が比較的少ない検査ではあるものの、偽陽性(がんではないのにがんと診断されること)や偽陰性(がんであるのに)がんでちゃないと診断される)がまれにあるという欠点がある。

組織診検査は病理診断を確定するための検査で、「生検」と呼ばれている。組織診では局所麻酔をしてから病変の一部を採取する。注射針より少し太い針を使用する針生検、さらに太い針を使用するマンモトーム生検、皮膚を切開して組織を採取する外科的な生検がある。細胞診に比べて調べられる細胞や組織の量が多いので、より確実な診断と詳しい情報を得ることが可能になる。

妊娠中に乳がんと診断された場合

検査や手術、薬物療法、放射線治療は、妊娠の時期によって流産や胎児への影響を起こす危険性がある。担当医や家族と十分に相談することが必要になる。

 

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