移住を考える⑨~菅原文太も地域おこし⁉

地域おこし協力隊の制度が始まって間もない頃のエピソードをひとつ紹介しよう。山梨県がこの制度を利用して40人の農業後継者育成のためのプログラムとして「農業協力隊」をつくり、取り組んだ時のことだ。

実は、当時、地域活性化センター理事長(元総務省地域力創造審議官)である椎川氏のところに、俳優の菅原文太から「どこかで本格的に農業をしたいと考えていたが、山梨県の横内正明知事からお誘いがあった。どうしたらいいだろうか?」と相談があったという。

そこで、椎川氏は以前から知りあいであった山梨県知事のアポイントを取り、3人で話をしてみようということになった。そして知事を訪問して、3人で基本的なことを話した上で、県の担当課長から北杜市を中心に農業適地を案内してもらった。北杜市の誘致が熱心で市長も案内役を買って出たという。

その結果、菅原文太は2009年に北杜市明野に株式会社「竜土おひさまの里農園」を開設した。山梨県は、これに加えて地域おこし協力隊制度を活用して農業後継者の育成を行うことを決め、そのコーディネーターを菅原文太に委嘱したのだった。

菅原文太は、有機農業にこだわり、自身で先生を見つけてぼかし肥料のつくり方を勉強し、醗酵室などもつくっていた。その後、山梨県ではこれらの動きを契機に、「やなまし発!有機・自然共生農業を考えるつどい(有機の郷交流大会)」を開催し、2014年で3回目になった。この会には、「奇跡のリンゴ」の木村秋則さんも毎回出席し公演をしている。

2014年の集いの後、残念ながら、菅原文太は他界してしまったが、この思い出は地域おこし協力隊発展の歴史の中でも特筆すべきエピソードとして残っているという。

~つづく~

(八咫烏)

 

 

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