移住を考える⑦~地域おこし協力隊(1)

最近、「地域おこし協力隊」という言葉をよく聞くようになった。「地域おこし」という言葉からある程度は推測できるが、どんな制度でどこが管轄して活動しているのか知っている人は少ないようなので調べてみた。

地域おこし協力隊とは、人口減少や高齢化等の進行が著しい地方において、地域外の人材を積極的に受け入れ、地域協力活動を行ってもらい、その定住・定着を図ることで、意欲ある都市住民のニーズに応えながら、地域力の維持・強化を図っていくことを目的とした制度である。

2009年に総務省によって制度化されたもので、2015年度には全国673の自治体で2,625人の隊員が活躍している。

総務省は隊員の対象として

① 地方自治体から、委嘱状等の交付による委嘱を受け、地域協力活動に従事する者であること。
② 1の委嘱に当たり、地方自治体が、その対象者及び従事する地域協力活動の内容等を広報誌、ホームページ等で公表していること。
③ 地域協力活動を行う期間は、おおむね1年以上3年以下であること。
④ 生活の拠点を3大都市圏をはじめとする都市地域等から過疎、山村、離島、半島等の地域に移し、住民票を移動させた者であること。したがって、同一市町村内において移動した者及び委嘱を受ける前に既に当該地域に定住・定着している者(既に住民票の移動が行われている者等)については、原則として含まないものであること。

と定めている。委嘱の方法・期間・名称等は、地域の実情に応じて地方自治体が対応できる。

2012年度になると、最初の地域おこし協力隊のみなさんの3年間の任期が終了した。その経験者に対する総務省のアンケート調査から定着率が6割ほどになることが明らかになり、傑出した経験者も出て来てマスコミを賑わすようにもなった。また、地域おこし協力隊を主人公にしたテレビドラマも放送された。こうした効果で、地域おこし協力隊が世間一般にもかなり認識されるようになった。

2014年に、安倍総理が地方創生関係で山陰地方の視察に行った際、3年後には3000人を目標に支援すると公言したのでさらに弾みがついた。2014年度の特別交付税の算定に使われた基礎数値によれば、実績配置人数は1511人となっており、前年度比1.5倍となった。受け入れ自治体も444団体で前年度比1.4倍である。今後も、地域おこし協力隊が制度創設当初の目的に沿って、順調に育っていくことが期待される。

2015年3月8日、六本木ヒルズにおいて、第一回「地域おこし協力隊全国サミット」が開催された。約300名の地域おこし協力隊をはじめ700名を超える関係者が集まり大きな賑わいを見せた。会では、隊員が市町村単位で壇上に上がり、彼らの地域に対する思いを込めたメッセージを披露するなど、若いエネルギーに満ち溢れていたという。

総務省の調査によれば、協力隊の77%が39歳以下の若い世代により占められている。つまり、この制度は、実質的に主として、「若者」と「農山漁村」という一見ミスマッチに見える組み合わせで成り立っている。そしてそのイベントが東京を象徴するような六本木という街で開催されることなど20年前にはだれも予想できなかった出来事であろう。

地域おこし協力隊は、過疎化に悩む地方にとっては救いの神とも言えるありがたい存在であろう。我が故郷の新宮市も2020年には2万人を割るであろうと予測されている人口減という問題を抱えている町である。そんな地方都市に、実際に地域おこし協力隊が活動しているのだろうかと思い調べてみた。次回は、新宮市で活躍する隊員を紹介したい。

~つづく~

(八咫烏)

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