空き家の活用法

総務省の統計によると、全国の空き家は2013年時点で約820万個ある。野村総合研究所の予測によると、このまま空き家の解体や活用が進まなければ、2033年には国内の住宅の30.2%にあたる約2150万戸が空き家になるという。

空き家のなかで、特に用途不明で長期間放置されている家(その他の住宅)が問題視されている。何故なら、倒壊、火災、セキュリティ悪化、犯罪などの危険が増し、近隣も困っているからだ。空き家全体の約4割が、このような「その他の住宅」だ。

国は、一昨年から「空き家対策特別措置法」を施行して、老朽化の著しい「特定空き家」に、通常の住宅が持っているさまざまなメリットをなくすことにした。特定空き家とみなされると、まずは不動産の固定資産税の税率が一挙に6倍に跳ねあがり、さらに可及的速やかに修・整備をしないと、自腹での取り壊しを求められる。

この問題の背景には、地方の経済不振と人口減少、少子高齢化、後継者問題などさまざまな問題が複雑に関連しているであろう。そんな中、インターネットを通じて空き家を売買するという取引方法が新しくでてきた。

インターネット上で売り手と買い手をつなぐ、俗に「マッチングサイト」と呼ばれるものだ。果たしてどんな仕組みなのか、取引に問題はないのだろうか。このことについて、少し考えてみたい。

先日、新聞で紹介されていた記事にこんなのがあった。山梨県に築20年余りの山荘をもつ男性が手放すことを考えて、地元の不動産屋に相談したが、借地権付きであることや築年数を理由にやんわり断られたという。仕方なく、あるマッチングサイトに掲載してみると翌週から18件もの問い合わせが相次いだ。

そして2か月後、内覧に来た30代の夫婦との間で売買契約にこぎつけた。もちろん、販売価格は購入価格とは雲泥の差があるがこれは不動産会社を通じて売買しても同じこと、いやむしろ手数料は売り買い双方の不動産業者にかかるのでさらに高い。

このサイトの場合、当事者間で売買の話が進めば、宅地建物取引士の資格を持つ人が間に入り、重要事項説明を行い、契約書を作成する。サイトへの掲載料は無料だが、成約した場合、売り手と買い手はサイト側に売買価格に応じて1.5~5%の仲介料手数料を支払うという仕組みだ。これまでに、青森県畑付きの家、広島県のアトリエ付の家など約60件の空き家、空き地が投稿され6件の売買が成立したという。

一方、ただ売買希望者のアクセスによってマッチングをはかるだけではなく、もう一歩進んだ取り組みをしているサイトもある。例えば、廃工場を「シェアアトリエ」としてリノベーションするなど遊休不動産の再生を手掛けている。これには、投稿された空き家や空き地に対して様々な人がアイデアを持ち寄って活用の方たちを探るというものだ。

空き物件がサイトに登録されると、購入希望者だけでなく建築士ら専門家がサイト上で用途や改装方法などについて意見を交わす。そんな中で内装業者や出資者などを紹介することも念頭において契約の仲立ちをしていくという。まだ、成約には至っていないらしいが、所有者が一人であれこれ悩んでいてもどうしようもないときに、活用法まで考えてくれるこの方法はある意味で画期的である。

【利用時の注意点】
このようなサイトのメリットは、投稿すれば、多数の人に物件情報を提供できる。また、購入希望者は通常の不動産業者が取り扱っていない物件を見つけることができる。所有者にとってはお荷物物件でも別の人にとってはお宝物件ということもある。

しかし、便利だといって安易に考えて行動するのはよくない。まずは、サイトの運営者が不動産業かどうか、契約前に権利関係を確認し重要事項説明ができる「宅地建物取引士」などの国家資格を持っているかなどを確認すべきである。

次に、古い建物になればなるほど外から見ただけでは痛みの程度はわかりません。提供されている情報の良い所だけを見るのではなく、一見してわからないような部分を大工、建築士、住宅診断士などの専門家に意見を求めることなどもお勧めである。

さらに、建物だけではなく立地も重要なポイントである。水害や震災時の危険性などをチェックするために、物件の立地について、過去の被害状況などを自治体の防災担当窓口などに問い合わせすることも重要であろう。

便利なネットをうまく活用しながら、不動産取引の基本的な部分も忘れずに確認することが肝心だ。

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