熊野の民話~「牛鬼」

牛鬼というのはな、頭が鬼で、首から下が牛みたいな恰好をしているんで、牛鬼というんやと。
川が淵んなっとる処によく牛鬼が出るというんで、昔は暮れ方んなると怖うて淵のあるとこ通らなんだの。牛鬼見ると何やらよくないことあるいうて。

昔、その牛鬼見て家にまくれ込んでそのまま長いこと寝こんだ人いたが、頭おかしくなって「牛鬼いる、牛鬼いる」いうてたと聞いたが、まこと牛鬼はおそろしいもんよ。

(出典:「みちとおと」~熊野の伝説より)

イラスト:ひろのみずえ
再話:北浦雅子
採話地/和歌山県田辺市本宮町檜葉
『熊野の民俗 和歌山県本宮町』1985年 近畿民俗叢書 より

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