花と神話~トリカブト

トリカブトに毒があることは昔からよく知られていたので、それはさまざまな悪だくみに一役かっていました。ここで紹介するお話は有名な悪女メディアがトリカブトを用いて悪事を働こうとした時のものです。

パンディオン王にはアイゲウス、パラース、ニーソス、リュコスという4人の息子がいました。父の死後4人の息子はアテナイを攻めその統治権を奪い取り、その地を4人で分割していましたが、宗主権はアイゲウスが持っていました。

アイゲウスには子供がいなかったので、デルポイの神託にどうすれば子供ができるかを伺いました。「アテナイの里に行きつくまでは酒袋の口を開けるな」というのが神託でした。その意味がよくわからないまま、アイゲウスはアテナイに戻りました。

途中トロイゼンに立ち寄りピッテウウス王のところでしばらく逗留していたときのこと、その神託の話を聞いて意味を理解したピッテウスはアイゲウスに酒を飲まし酔っ払ったアイゲウスと自分の娘アイトラーを一緒に寝かせたのです。その結果アイトラーは懐妊しました。帰国するアイゲウスはアイトラーに、

「もし男の子が生まれたら父の名前を教えず育ててくれ。そして巨岩の下に隠してある刀と靴とをその子が取り出すことが出来たらその時父の名をあかしその刀と靴を証拠として持たせアテナイに来させてくれ。」
と言いました。こうして生まれたのがテーセウスでした。

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