「街の本」シリーズ

谷中安規が、1933(昭和8)年の国画会に出品した<街の本>は4点シリーズ。「ムーラン・ルージュ」はパリの有名なレヴュー劇場をまねた新宿の軽演劇「ムーラン・ルージュ新宿座」がモチーフ。赤い電飾を灯した4枚羽のムーラン・ルージュ(赤い風車)が屋上に乗っている。

「渋谷」は、幾つかの電車線が入り込み、ネオンの光と影が交錯する夜の渋谷駅前の雑踏。「シネマ」の建物ははっきりしませんが、昭和初期のモダン都市の象徴としての映画館、銀座7丁目の「シネマ銀座」がモデルだという証言もあります。

「動坂」は、東京・文京区駒込の山手から不忍通りへと降りる200メートルほどの坂。ただ、谷中(やなか)の五重塔が描かれているところから、坂上に森鴎外や夏目漱石が住み、江戸川乱歩の小説「D坂の殺人事件」の舞台となった団子坂ではないか、とも考えられます。

【出典:佐藤春夫記念館・企画展「谷中安規と佐藤春夫」】

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