「めはりずし!」

最近は、帰省したときは、せめて一緒にいる間でもと思い、毎日昼と夜、料理を作って母に食べてもらっている。決して自慢できる腕ではないが、短い期間でも料理学校に通った経験が生きる。母も、おかずを口に入れるか入れないうちに「美味しいよ!」と言ってくれる。嘘がばれているのに気づいていない。

買出しにイオンに行って、まずは自分のビールを買い、メニューを考えながらあれこれと見ていると「目張りすし用の高菜」を見つけた!以前、自宅近辺のスーパーで探したことがあったが、こんなところで売っているはずもなく諦めたことがある。そこはやっぱり新宮だ。考える暇もなく飛びついて買う。

そのうち作ろうと思っていたが考えてみると、せっかく久しぶりに母親に食べさせるのに「めはり」では栄養もない。それならめかぶやモズクの方が身体によい。ということで帰る日まで使わずじまいだった。ふと、そうだ帰りの弁当にしようと思いついた。そういえば、昔、帰省して戻るときに新宮駅でよくめはりすしとビールを買ったのを思い出した。

特急に乗って、冷えたビールが温かくならないうちに飲む。飲んだらめはりが食べたくなりひと口ほおばる。「う~ん、これだ!」昔、家で作ってもらった時は、刻んだ具に醤油をかけていたが、今回は醤油ゼロ!何せ高血圧症で塩分は極力控えている。おかげで、最近は舌が変わって随分と薄味になっている。たまに娘が遊びに来て一緒に食べると必ず味が薄いという。めはりに添えていたコンコ(お新香の和歌山弁)がとても辛く感じる。

高菜とごはん。なんの変哲もないシンプルな味だが、これが故郷の味なのか。ほおばった瞬間、頭の中に子供のころ遊んだあちこちの懐かしい風景が次々と浮かんでは背中から遠ざかっていく・・・阿須賀神社、蓬莱山、丹鶴城、大浜、貯木場・・・。電車の中でひとり、涙こそ出ないがちょっとだけグッとくる。

今回も、帰省中多くの同級生、友人たちと会うことができた。変わっているようで変わっていない。みんな元気そう・・・でもないか、体のあちらこちらが悪いと病気の話が増えてきた・・・ただ、会っているときはみんな笑顔だ!古いアルバムを取り出してきて見る、あの顔、顔、顔。他の連中は今どうしていんるのだろう?

やはり故郷はいい。

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